川ガキの住む川〜日和佐川に集う人々

2005年2月13日更新 
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日和佐川源流の八郎山(918メートル)上空から見た日和佐川、牟岐大島、牟岐川のパノラマをご覧ください。
日和佐町の魅力=日和佐川の魅力

日和佐川の魅力はそのまま日和佐の魅力につながる。このまちのたたずまいと日和佐川は切っても切れない関係にある。四国八十八ヶ所参りの第23番札所薬王寺がある町、日和佐町は大晦日から元日にかけて大にぎわいを見せる。

日和佐といえばウミガメのまち。アカウミガメが上陸する大浜海岸がある。そこから南をめざせば、無人の海岸線を縫って走る南阿波サンラインが牟岐町に向かって伸びやかに走る。ここはぼくのお気に入りの場所。→ウミガメの観察方法

沿線の海岸性照葉樹の森を散策していると、いつのまにか渚へ下ってしまうこともある。誰もいないまるでプライベートビーチである。ウバメガシが主役の光が差し込む明るい森は、海が林間に見え隠れして息を飲む。特に冬場の透明度は信じられない。底までくっきりと見通せるから、断崖の上から魚が泳いでいるのが見えるような気がする。

風に吹かれてクルマを走らせれば、太平洋に浮かぶ出羽島や牟岐大島に向かってジェットコースターのように降りるところがある。

牟岐町に近くなると水落の集落があってここには一部集落があるが、南阿波サンラインは無人の海岸線が約20キロ続いている。こんな場所は日本にそうそうない。

無人の砂浜には山からの沢がいくつかの滝となって落ちている。海で泳いだあと塩気を洗い流す天然のシャワー。無人の照葉樹の森を抜けてくる水は清浄である。雨のあと数日間だけ出現する滝もある。海に直接落ちる小宇宙だ。

ある年のしし座流星群の日、ここはかつてない混雑、それも夜明けの渋滞に見舞われたことがある。あの日は曇っていて南へ行くほど条件がよくなることが知られていた。京阪神から一斉に四国をめざし、その大半が流星雨を見るためにここにやってきたのだ。

ぼくが望遠鏡をセットして徳島の人たちに星座の案内を始めた頃は少なかったが、いつのまにか外牟井の浜周辺は県外ナンバーの車で身動きできないほどになった。風光明媚で車が置けてトイレもあり、歩いてすぐに渚がある、ということをどうやって県外の人が夜中に知ったのか? インターネットの時代だからこんなことが起きるのかもしれない。

  • 下の地図は、「カシミール3D」というソフトを使って描画したものです。
  • このソフトは、個人が無償で公開していますが、利用には地図データが必要なため、全国5万分の一地図データとセットになったものがわずか数千円で入手できます。アマゾン書店でのリンクを貼っておきます。
  • まだ使いこなせていないのですが、全国の5万分の一地図データから、任意の位置、角度、高度からの俯瞰を作成できるというものです。
  • こうしてみると、海部郡は太平洋に面し、年間降雨量3千ミリを越える山々から流れ出した清流がまちを潤していることが実感できますね。
日和佐川についてのエッセイのご紹介

 ☆ 「山里ノスタルジー」/梅田俊作著 ベネッセコーポレーション 
  • 日和川という名前で日和佐川が紹介されている物語です。50代にして日和佐へ移り住んだ絵本作家、梅田俊作さんが綴るお話です。このなかで「くじら岩」が出てきます。
 ☆ 「日和佐川子ども日和―タンマかーけた!」
  • 梅田さんの新刊が2005年2月に出ました。日和佐川を舞台に子どもたちのいきいきした様子を描いています。
 ☆ 「カワムツの朝、テナガエビの夜」/野田知佑著 小学館 1,260円
 ☆ 「こぎおろしエッセイ ぼくの還る川〈PART2〉ふるさと編 」/野田知佑著 小学館 1,260円
  • 日和佐を終の棲家としたカヌーエッセイスト野田知佑さんの著書を2冊紹介します。
  • 日和佐の暮らし、山裾を流れる小川とそこに棲むいきもの、雄大なアラスカの大河を知った野田さんが良しとしたのは繊細な日本の川の原風景。著書では、日和佐の暮らし、四国の川の日常が綴られています。
  • 野田さんは、岳青年にこう呼びかけています。「こっちに来ないか。日和佐はいい所だぞ。海を川もきれいだ…」。井座利分校のこと、となりの町の川で遊んだこと、内妻海岸での磯遊びなど、海部郡在住の人がみれば(知っている人は)にんまり。「カワムツ…」のジャケットは、野田さんが子どもと川を歩いていますが、自宅周辺の小川でしょう。
  • 南阿波サンラインにも宝物がたくさんあります。山からの滝がそのまま流れ込む自分だけのプライベートビーチのような渚、海の幸にかんたんにたどりつく平家の落人が開いた絶景の棚田など、ぼくも普段の遊び場所としています。
  • 海部は、海と川が抜群で植生の豊かな山があり、しかも文化にある程度近い場所という条件を満たしています。国会国立図書館に蔵書されている「南阿波海部の新しい波」(平井吉信著)でも海部エコツーリズムについて触れられています。

           
  
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