干潟からピナイサーラの滝へ
ピナイサーラの滝は河口から近づく

四国に住んでいて川で遊ばない人はいない。四国では川と人は密接に結びついている。だから国のダム計画を中止に追いやることもできれば、可動堰をめぐる住民投票を呼びかけるために政治や川に無関心な一般市民までもがプラカードを持って交差点に立つこともある。

だから西表島でも、海より川に関心があった。そこでレンタルカヌーを活用した。その業者は、船浦の海中道路沿いの河口干潟にカヤックを係留している。この日は大潮で干満の差が大きいため、船浦湾は干潮になると干上がってカヌーでも漕げなくなる。そうなるとわずかに残る水深の浅い水路をロープで引っ張ることになる。だから船が通れそうな潮位の限界と考えられる13時ぐらいまでに戻る必要があった。

目的のピナイサーラの滝は船浦湾沿いの道路から見えている。この滝は、西表最大の高さを誇る滝で、潮が引いた深浦湾からは干潟を歩いて途中の川沿いの小路から滝に到着することもできる。それでもマングローブをからだで感じられるカヌーがおもしろいはず。

しばらく湾を進んで湾の奥に達したとき川が分岐した。右がマーレ川、左がヒナイ川。通常はカヌーで川を上ることはないが、高低差がないため可能となる。それでも多少の水流があるために手を休めるとゆっくりと後退していく。

マングローブは、湾内にヤエヤマヒルギ、ヒナイ川にはアダンやオヒルギ、マーレ川にはメヒルギやシオマネキを見かけた。出発時は満潮で湾全体が水没していたが、潮が引いた午後には干潟の至るところでミナミコメツキガニやミナミトビハゼがちょこちょことはい回っている。

ヒナイ川を遡ること半時間で水深が浅くかつ渓谷となった。ここでカヌーを下りる。右岸の樹木にカヌーを係留して陸に上がり、ピナイサーラの滝へと歩いて向かう。


おとなの背丈ほどはあるサキシマスオウノキの根が目を引く。滝までは、マングローブからジャングルへと森が遷移していく。島を南北へ縦走すると西表のジャングルの深さがわかるという。ぼくは屋久島の原生林を見ているが、ここだけを見ていると、森は雨が多い屋久島のほうが深いように見える。しかし西表も広い。


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