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クロス集計による検証
5.クロス集計による検証

ここでは仮説をもとに、クロス集計を駆使して属性ごとに検証を試みる。

(1) 年代ごとの商店街への不満は違いがあるか?

・ 将来の顧客となる20歳未満では、「神戸、大阪…」「ただ何となく」「値段が高い…」を挙げている。「ただ何となく…」は東新町の雰囲気とは合わないのだろうか。
・ 20代では、「開放感がない」「店に個性がない」「欲しい商品がない」など平均的に不満の項目が並んでいる。
・ 30代では、「欲しい商品がない」「街に魅力がない」「駐車場」などを挙げている。
・ 20〜30代では4割程度が神戸・大阪に魅力を感じている。その理由として「欲しい商品がない」 「街に魅力がない」「店に個性がない」「開放感がない」「駐車場がない」といったところである。
・ 40代では、「街に魅力がない」「駐車場」を挙げる回答が多いようである。
・ 50代では、「買わずに出にくい」が目立つ。その原因として、50代以上の世代の3/4は「接客されるのが嫌」と答えている。
・ 60代でも「開放感がない」「入りにくい」を挙げており、70代でも「接客されるのが嫌」がもっとも多かった。若年世代への接客は商店街を挙げて再考を要する課題である。
・ 調査期間中いくつかの店先で強引な接客を見かけたが、接客されてもクールに受け流す若年世代とは違って熟年世代の接客こそ自由に選ばせてあげる雰囲気が大切である。



(2) 年代層と購買金額と頻度の関係は?

・ 20歳未満は圧倒的に2千円未満である。
・ 20〜30代では、2千円未満が多く、次いで2千円〜5千円未満となっている。
・ 40代以上では2千円〜5千円未満がもっとも多い。東新町の来街者においても一般的傾向と同様50〜60代の可処分所得が多い。



・ 買い物頻度では、30〜40代がやや疎遠になっている傾向がある。
・ 週1回以上の頻度でみると、50代以上がよく利用しているようだ。


(3)年代とイベントへの好感度は?

・ イベントに期待する傾向はどの年代でもそれほど変わらない。
・ ただし50代以上はどんなイベントでも歓迎する傾向が強いが、30代〜40代は相対的に「イベントによる」の回答が増えている。
・ 選別眼の厳しい30代を集めて、今後の東新町商店街についてグループインタビューを実施し、そのなかで、どんなイベントがよいかのテーマを設けて議論してもらう方法もありそうだ。



(4)年代と年初の合同セールの認知度は?

・ 20歳未満でとりわけ低いが、やはり全体としても「知らない」が「知っている」を上回っている。
・ どちらかといえは、20〜40代への浸透度が低いようだ。



(5)年代または居住地域による欲しいお店に違いはあるか? 

・ 若い世代ほど雑貨屋を望む声が高い。
・ 熟年に行くほど、産直の生鮮食料品を望む声が多くなる。
・ 洋菓子や和菓子の店、ブランドショップは、年代を問わず望む声が多い。特に洋菓子和菓子の店は30代で顕著となる。
・ 40代ではカルチャー教室が他の世代よりも多くなる。ようやく子育てが終わった世代の自己実現の欲求とみることができる。
・ 20歳未満で多くなる駄菓子屋という回答は、往年の商店街店主と子どもたちの関係を彷彿させる。

・ 居住地域(徳島市内or市外)によって求める店にそれほど差異は少ない。強いていえば、雑貨屋の割合が市外でやや高くなる。



(6)年代別東新町のイメージは?

・ 「さびれた感じ」は各年代で多い回答である。
・ 「街並みはきれいだが活気がない」は年齢が高くなるほど多くなる。往時のにぎわいを知る人たちにとっては、現在の東新町は灯が消えたかのように感じられるのだろう。
・ 「若い人向けの店が少ない」は20代でもっとも多くなっている。
・ 「高級品やブランド品が揃う」は各年代で低い回答である。生活者のなかでは東新町はかつての買回品商店街というよりも、地域の最寄品商店街として捉えられているのかもしれない。
・ その反面、「にぎわいのある街並み」は20歳未満で増えている。



(7)年代による京阪神への流出傾向

・ 20代〜30代では、京阪神への買い物へ流れる割合が高くなっている。
・ 東新町で買うことが多いのは、50代以上では、東新町で買うことが多くなってくる。



(8)年代別で見る「なぜ東新町で買うのか?」

・ 「近くにある」「慣れ親しんでいる」「なじみの店」があるを理由とするのはどの年代でも共通である。
・ しかし「品揃えが魅力的」「流行の商品がある」を理由とする人は、どの年代でも少ない。やはり地域密着の商店街としての位置付けであって、買回品商店街ではない。



(9)年代別「どんなイベントがいい?」

・ コンサートを歓迎するのは「20歳未満」である。
・ リサイクル市やフリーマーケットは20代〜70代以上まで幅広く支持されている。
・ 縁日は、30代から上で支持されている。
・ 合同セールは40代から上の熟年者向けといえそうだ。