ゆず皮投棄事件とババ連 (木頭村在住の玄番さんのご意見を許可を得て掲載しています) |
地域を変えるババ連 「きとうむら」の村有500株のうち420株(5万円×420株=2100万円)が村民有志239人に売却され、村の保有率は13%になった。村外からも株購入の問い合わせがあったそうだが、売り切れである。前回の「協力金」出資者は村外の人が中心であったが、今回は正しく会社を支える株である。「きとうむら」の藤田恵社長は村外から小泉晨一氏(元国会議員、ごみ問題コンサルタント)、日野雄策氏(エコロジーショップ「GAIA」主宰)という企画・経営のプロを一昨年に引き続き取締役として尽力してもらい、更なる船出となる。 昨年末、ゆずの絞りかすという「産業廃棄物」の処理方法で警察の摘発を受けた。以下は村議で今年1月まで「きとうむら」の運営に大変尽力してこられた株田茂氏の裁判傍聴の呼びかけ文である。 (ここから引用) きとうむらのゆず皮投棄事件の裁判があります。2001年6月18日午後1時30分より、阿南市富岡町 阿南簡易裁判所2階の第1号法廷で公判が開始されます。 2000年12月に徳島新聞で報道されてから、度々紙上をにぎわしていた件ですが、2001年3月6日に阿南簡易裁判所より(株)きとうむら及び被告人2名に各50万円、計150万円の略式命令による罰金が言い渡されておりましたが、 事件の内容、他の事例に比較して、不当に重い罰金であるため異議申し立てをしておりました。その初公判があります。罪名及び罰条は 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反 同法第32条第1号、第25条第8号、第16条、刑法60条 最近の同種の事例 2001年1月6日付の徳島新聞から 阿南区検は五日までに廃棄物処理法違反罪で那賀郡鷲敷町内の建設会社と同社専務(四〇)を阿南簡裁に略式起訴。同簡栽は五日、同社と役員にそれぞれ罰金二十万円の略式命令を出した。 命令書によると同社は、昨年6月、同町内の民家解体工事で出たコンクリート片などの産業廃棄物約三十四トンを同町内の山林に不法投棄した。 今回のゆず皮は分類すれば、確かに産業廃棄物の食物性残些に成るかと思いますが、古来、木頭村を始め、全国のゆず生産地では搾り滓を田畑や山林に散布し、堆肥化処理をおこなってきました。 それは動植物に益はあっても害が無いという、先人の知恵と経験から行われてきたわけです。既に1月の撤去作業時には添付写真にあるように、種子はネズミ等の食料化や、果皮の発酵熱により発芽がみられました。つまり自然に還ってるわけです。 確かに、薬でも量をやりすぎれば害が出てきます。そこで問題になるのは量であります。 量は20トン余りと農協なんかと比べれば何十分の1ですし、散布した場所も川から100M以上も離れており、よしんば大雨が降って流失するというので有れば、先に山崩れでも起きない限り流れるような所ではありません。 この事件はダム反対運動の先頭に立つ藤田元村長((株)きとうむら社長)の失脚をねらった、2001年4月の村長選に絡んだ不当な物だと言わざるを得ません。出来るだけ沢山の方に傍聴に来ていただいて、廃棄物処理法の矛盾点と、マスコミも含め、警察等の公的機関の対処法について明らかにしていきたいと思います。 (引用ここまで) この裁判には30名を越える村民がバスで傍聴に来た。簡易裁判所としては異例の傍聴者数だったらしく、職員数名が抽選、案内などを玄関内外で行っていた。地元マスコミは1社も来なかったため、記者席(9人)にも村民が座った。この模様は近くインターネットビデオ放送する。>>>http://www.f5.dion.ne.jp/~kukuluでストリーミング予定。 リサイクル・コンサルの小泉氏にとっても、これは真剣に取り組まなければならない問題である。是非、従業員や村民の意見をよく聞いて、経営責任者の一人として今度は法的にも経済的にも「きとうむら」にとってプラスとなる実行可能な対策をしていただきたい。 実は、このような「きとうむら」の株の村民買い上げに端を発した動きは、村の女性たちの地道な活動に依るところが大きい。彼女たちには「ダムを跳ね返してくれた藤田村長」への想いがその求心力として存在する。そして6/22から始まっている村議会の傍聴や関係者との対話などの民主的な方法を実践している。様々な立場の人達との話し合いがこれからの木頭村を、以前の「むら」に戻す大切な役割を果たしているように思う。彼女らは自らを「ババ連」と呼んでいる。 平均年齢は決して低くない。今回の株買い上げに奔走した平野安江さんは最も若手の1人であるが、孫、ひ孫のいるばあちゃんたちがほとんどだ。しかし、自らを「ババ連」と称し、週刊「金曜日」6/1号<脱ダム村長最後の議会>を旅先のマイクロバス内のマイクで読み上げ、みんなで泣いたという彼女たちを誰も止めることはできない。国の中央が腐っても地方は生き、地方の中央が変わらなくても地域は変わる。そんなベクトルを感じるのが木頭である。 選挙のしこりを乗り越えようと「ババ連」の活動は地域を村を変えるかも知れない。 水と暮らしのネットワークWLN 世話人 玄番隆行(木頭村北川) |