夢を紡ぐ(2000年12月)


 20世紀が終わりました。ぼくが生まれ育った1960年代から70年代にかけては、混沌としたなかに強烈な上昇志向が感じられた時代でした。当時の歌を思い出してください。幸せがいつまでも続いてほしいと満面の笑顔で歌った女性がいました。「ふたりだけの愛のしるし すこやかに美しく育てと祈る」(「こんにちは赤ちゃん」、1963年)。

 やがて人類が地球を飛び出しアポロが月面に着陸し、列島改造論に揺れるこの国を太陽の塔が絶対的な存在として経済至上主義を告発していたあの頃、まさに高度経済成長の真っ直中、この国は活気にあふれていました。そんな時代だから、ふるさとを離れる若人を祝福する愛の歌「若いと誰もが心配するけど、愛があるから大丈夫なの」(「瀬戸の花嫁」、1972年)に全国民が共感しました。(20世紀の音楽を振り返ってみたい方こちら。http://www.soratoumi.com/vanvan/)

 公害、オイルショック、そしてバブル経済崩壊の痛手から立ち直れないまま今世紀が終わりました。環境問題への関心の高まり、大手企業の相次ぐ破たん、Web上に展開される生活者主権の仮想コミュニティ…。それらは、旧態依然の世界を破壊し無からの出発による新しい秩序の出現を示唆しているようです。

 近年になって徳島では地域の持続的発展を願う人々の気持ちが住民投票に結実し、人口2千人の村が絶対に止まらないといわれたダム計画を阻止するできごとがありました。新しい住民意識の芽生えです。前回紹介したきとうむらオンラインは1日で200を越えるアクセスがありました(http://www.kitomura.com/)。また徳島の女性がつくる地域情報サイトも産声を上げました(http://www.kanojono.net/lanca)。

 独立して2年半、現実をしっかりと見据え、地に足を付けて壮大な夢を紡ぐ日々です。傍観者はいらない。こんな時代だから矢面に立って汗を流して笑いと涙で日々ぶつかっていくしかない。今だからそれが必要だと思うのです。

 今年一年は、Webマーケティングに重点を置いてお伝えしました。一世を風靡したマーケティング理論や財務理論が陳腐化し、時流にそぐわなくなったことがたくさんあります。その反面、普遍の真実としてますます輝きを放つことも見えてきました。そんな混沌としたなかで、いくつかの具体的な実践結果をご報告できました。読者の皆様、お読みいただいて誠にありがとうございました。

 お礼にメールでお申し込みくださった方全員に、次のうちどちらかお送りします。

 (1)損益分岐点を正確に計算するプログラム。損益分岐点を把握するためには、変動費と固定費に勘定科目を分けたデータを元に計算する必要があります。しかしこのプログラムを使えば、月々の売上高と経費を入力するだけで最小自乗法による簡単かつ正確な固定費と変動費率を算出します。エクセル97〜2000で動作します。

 もうひとつは趣向を変えて(2)四国の川のエッセイ。川の国と呼ばれる四国に生きる人々に直接お会いして感じたことを綴った川とともに生きる四国の川紀行(.txt)です。希望の品どちらかを明記して下記のメールアドレスまでお申し込みください。

 新しい世紀は、新しいテーマで綴っていきます。本誌をお読みの方々との交流ができればと思っています。本年もよろくしお願いいたします。

 四国のポータルサイトをめざしてWebを作成しました。日々更新していきますので一度覗いてみてくださいね。http://www.soratoumi.com/