Webデザインその2〜色彩(2000年9月)

 店頭でお客様が買われるときにお知らせする広告をPOPと呼んでいます。日常的な最寄品の買い物では衝動買いが相当の割合を占めます。だからこそ物言わぬセールスマンたるPOPはお客様の注意を引き、それを使うことを連想させ買ってしまおうと思わせる心理に働きかけます。

 POPの基本色は何色でしょう。それは「白」です。白を基本に考えるのは、どの色も鮮やかに冴えるからです。さらに、白の持つ純粋無垢なイメージがお客様の懐疑心「買わされているのでは…」を和らげる働きがあると思われます。

 ところが、白を基調にしている店舗は多くありません。店によっては、すべて蛍光イエローだったりします。確かにPOPは目立つでしょう。けれどそこに置かれている商品はどうでしょうか。お客様に好感を持って認識していただき、長く記憶に残るために、暮らしのなかでそれを使った生活を具体的にイメージしてもらうために、そしてブランドを表示することでお客様に信頼感を与えるものが「パッケージ」です。それにPOPが寄り添っていますか?

 何物にも染まらない白は、何物も染めないのです。ただしニュートラルな印象を持つ淡い中間色、彩度の低いアースカラーのような色調も場合によっては「白」に含まれるとぼくは考えています。すぐれて特価の一部製品に蛍光色のPOPは構わないと思います。何かを表現するとき、最小限の色使いで訴えることは原則です。

 Webも同じです。写真やイラストを使うなら、背景は白が原則です。原則といったのは、色の持つ効用を熟知している人にとっては例外がありえます。効果的に配色された背景や紋様は、見る人の心の琴線に触れてきます。安らぎ、驚き、鮮烈さ、なつかしさ…。そんな心の動きがわかる人は背景に色を使ってみてください。カラー心理学を知らずとも、色の持つイメージが感じられたら使いこなせるでしょう。Webデザインは、直感と論理の高度な融合なのです。

 いずれにせよ、今後のWeb制作は、経営者を中心に、ワークフロー、マーケティング、デザイン、情報技術、心理学を熟知した専門家によるコラボレーションとなるでしょう。

 ホームページビルダーを使ったアマチュア作品であっても、営業活動と密接に連携し、毎日(毎週)更新しているぞ!という熱意を見せる手作りサイトは心強いですね。そのような店舗では、いずれ必要となる顧客データベース(販売管理)を紙で代用しながら、受注から発注、債権管理に至るまでの業務の流れと将来的な処理件数を見きわめ、数年間耐えうる使いやすいデータベースの青写真が浮かんだ時点で専門家に相談するとよいでしょう。「いいのを作ってくれ」と最初から任せっぱなしではダメです。