「いのちをつなぐトマト」



長い人生を充実して生き抜くには健康が肝要だ。
健康を損なう要因はさまざまあるが、
食生活、ストレス、運動不足が三代要因ではないか?

ただし、健康でない時期があるのも当然で、
不健康を悔やむ必要はない。
そこから学ぶことはきっとある。
健康なときには見えてこなかった視点や
広く深い洞察が得られるかもしれない。

なにごとも鷹揚に構えてすべてを受け止める心構えでいい。
健康でいるためには、
健康でいることへの感謝とそうありたい強い意思が必要だ。

とある店舗の収益改善を目的に
単身赴任者のマーケティングを把握するため、
すべての家事を2か月限定で実行しているが、
そこから得られる体験情報は大きい。
単車赴任者は食品をどの頻度で購入するか、
野菜はどの程度の量が買いやすいかなどを調べるうち、
家事という終わりのない連続作業で、
手順を改善していくおもしろさを発見する。
データだけに頼っては仕事に魂が入らない。

多忙はストレスを生むが、
それでも健康でいられるのは、
健康へのささやかな努力をしているから。

健康は心と身体の連携だと思うので、
まずはストレスに負けない精神力から。
それは、そのときにできることを全力を尽くした実感から生まれる
開き直りというか達観した精神状態かもしれない。

計画性も大切。
未来(数日〜数週間、あるいは数ヶ月)に
どれぐらいの時間があるかを把握するために
未定事項も含めて行動計画をつくってみる。
ただし紙に書くと修正が面倒だし、
自分で書いておきながら読めないこともある。
現実的にはパソコン上のソフトで管理することになる
(以前にスケジュールウォッチャーという使いやすいフリーソフトをご紹介した)。

「するべきこと」「したいこと」を書き込んでいくと、
一定期間にどの程度の時間の余裕があるかわかる。
これは、仕事量の調節に役立つし、
こちらの都合でアポを取ることも可能となる。
一〜二か月先までの行動計画をつくることが心のゆとりを生む。

今回は、多忙な時期に
いのちをつないでくれる大切な食べ物として、
トマトのことを書いてみようと思う。

トマトはナスの仲間で栽培期間が長い。
ただし温度は高すぎても低すぎても良くないし、
湿度は高めが必要である。
おいしいトマトを得るためにハウス栽培されることが多い。

その収穫は冬に始まる。
ハウスに入れば暖かく湿度が高いため、
少々の風邪が治ってしまうほどだ。

栽培の苦心は水遣りにある。
甘いトマトをつくるには水は抑えるが
行きすぎると枯れてしまう。
土づくりはもっとも大切で
有機を混ぜつつ数年をかけてトマトづくりに適した土に変えていく。
この実験は一年に一回しか成果を確かめられない。
農業とは長い年月をかけた現場での洞察に基づく試行錯誤、
つまりPDCAサイクルそのものだ。

トマトを買ってきてビニール袋を開けると、
昔ながらのトマトの青臭い香りが立ちこめる。
ビニールから出して
一つひとつが重ならないよう新聞紙を敷いたトレイに並び替える。
思いを込めてつくられたものは大切に扱いたい。

最初の数日は冷蔵庫に入れず、
時期を見て冷蔵庫に入れる。
こうすると保存性が良くなる。

なにはともあれ、おいしいトマトをいただこう。
トマトを水洗いして輪切りにする。
いい切れ味の包丁(匂いや衛生面の理由で肉や魚には使わない野菜専用)で果汁をこぼさないよう、スパっと切る。

すると、切り口が鮮やかな光沢を放つ。
縦に切らずに輪切りにするのは甘みを引き出すため。
うまい天然塩をかけるとさらに引き立つ。

さあ、食べよう。
しゅわーっとトマトの酸味がたまらない。
そのあとに来るやさしい甘み、
さらに口のなかに残るうまみ
(グルタミン酸が豊富)が溶け合って至福のひとときを味わう。

トマトのおいしさはまさに三位一体(酸味、甘み、うまみ)。
しかもトマトにはリコピンという抗酸化作用の物質が含まれる。
それが原因かどうかはわからないが、
トマトを食べると身体が楽な感じでストレスを感じない。
トマトは徳島市国府町の鎌田農園さんで買っている。

厚労省の食事バランスガイドでは、
朝食を食べることを「めざましごはん」と称して奨励している。
確かに朝食は一日のエネルギーを与えてくれるけれど、
まだ内臓が完全に目覚めていない状態で食べ過ぎると
身体の動きや脳の働きにキレがなくなる。
自家製の野菜ジュースなどを中心に
「朝は控えめ」が良いようだ。

実体験をもとに
時間のない単身赴任者におすすめの朝食を考えてみた。

まずは次の食材を確保し、食べたいものを食べる。
にんじん、バナナ、りんご、ヨーグルト、
蜂蜜、トマト、卵、納豆または豆腐、みそなど。
ニンニクと生姜は頻繁に使うので常備する。

ごはんが欲しいときは、
炊飯器で炊いて蓋のある陶器に移して冷蔵庫に入れ、
器ごと電子レンジで温める(省エネで美味)。

卵かけご飯か梅干しの茶漬けでいただくこともある。
身体を暖めたいときはしっかりと出汁を取ってみそ汁をつくる。
冬は、生姜と蜂蜜を湯割で飲むと特に温まる。

これらは忙しいひとときでも簡単な調理で食べられるし、
油汚れがなく食べ終わる頃には洗い物が片付いている。

野菜はフードプロセッサーやミキサーを使ってジュースにするのもいいし、
季節の野菜を密閉できる鍋に
少量の水で蒸して温野菜として好みのドレッシングで食べるのもいい。

簡単で栄養価の高い朝食なら、
食パン(冷凍保存してある)にオリーブオイルを垂らし
チーズを載せてトースターで焼く。
輪切りのトマトと大野海苔を載せれば香ばしさが際だち、
トマトのうまみとチーズのこくが溶け合って絶品の朝食となる。


食の基本は米なので昼と夜は必ず食べる
(米は小松島の北野さんの無農薬栽培米を玄米で購入。自宅で手作業で選別し家庭用精米機にかける)。

寝る前には柔軟体操(ストレッチ)をやる。
これは身体が欲しがる気持ちいい動きだ。
首と肩胛骨は特に入念に動かす(パソコン作業の肩こり対策)。
すると疲れがほぐれてくる。
ついでに腹筋や背筋、スクワット、腕立て伏せもやってしまおう。

身体が温まり心地よい疲労感を感じたら、
電気を消して好きな音楽を聴きながら眠りに就く。

ときに仕事の課題の解決を考えながら寝ることもある。
枕元にはICレコーダを置いておく。
朝が来れば不思議と考えがまとまることが多い。
推理小説の謎解きのようで、わくわくする。

そんな365日の繰り返し。
不況でもいいことはきっとある。
生きていれば苦しいこともあるけれど
悪いことばかりじゃない。
いつかは誰もが土に還っていくのだろうが、
すべてを味わいながら淡々と生きていくのも悪くないと思う。

 

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