「手作りの営業ツール」
秀麗な印刷パンフレットは捨てられるが、手作りの汚い?チラシはなぜか捨てられない、といった例をよく目にしませんか? Webを取り上げることが多かった本欄ですが、紙媒体が見直されてきているように思います。
事例1 飛び込み営業用のツールにワードで手作り
木製品を扱う徳島の事業所の代理として、これまで直接取引など考えられなかった一部上場企業に飛び込みで回り、しかも会ってくれたとの報告が寄せられています。アポを取るのは常識ですが、これだけの時代、情報をどん欲にアンテナを張りめぐらしている高感度の人たちは、飛び込み営業は必ずしも否定的に捉えないのかも知れません。むしろ流通経路の末端の人たちの声を聞きたがっているのがこれら大手商社や企業の人たちかもしれません。
その場合に持参するのが、その日の訪問先のためにカスタマイズした資料。ワードやエクセルをうまく活用すれば、個々の事例や相手先の名称を入れた親しみのある資料です。相手が大企業であるだけに見映えのするプレゼン資料には食傷しているでしょう。そんなところに、要点をずばっと提示した手作り資料は目を引くこと請け合いです。しかもわざわざ徳島から上京してアポなしとくれば、ビジネスの定石からはずれていてもどこか新鮮みと期待感を感じさせてくれます。まあ、おもしろくなければ早々に切り挙げるつもりで話を聞いてみると意外におもしろい。そんなところからビジネスのきっかけが始まるのです。
自分をよく知ってもらうためには、これまでの実績集が効果的です。写真やイラストを散りばめ、迫力ある大胆なレイアウトで大づかみに見せることも必要なパフォーマンスです。あとは自信たっぷりに相手の目を見ながら時折声の抑揚を変えてさりげなく。そして引き際はあっさりと…。相手の心に残るプレゼンとなるでしょう。
別れ間際にもう一押し。「せっかく遠方からやってきたんだからどこか紹介してもらえませんか」と打診。紹介の相手だったら飛び込みやすくなるというメリットとともに、どこにでも訪問するという意欲を相手に見せることで、仕事にかける本気度を示すことになるし、もしかしたら提携先や競合企業に有利な商談を運ばれたらというほんの少しの焦りを与えるかもしれません。こうした営業で人脈を築きながら本事例ではいくつか受注にこぎ着けたそうです。
事例2
徳島のSOHOが中心となって全国のSOHO支援向けに紙媒体の「SOHO樂」(リテラ発行)という月刊誌を創刊しました。これはSOHOという形態がビジネスにまで発展するためには、分業・協業ネットワークが欠かせないこと、そしてそのためにもっとも大切なのは人材育成であるというねらいを秘めたもので、雑誌の収益そのものは赤字にならなければよいのです。
パソコンを使っている人たちが紙媒体?と思われるでしょうが、実は複数ウィンドウを開いたり閉じたりするのはかなり面倒です。紙媒体だと必要なページを開けっ放しにすることができて効率的に仕事が進められます。10月中旬の徳島ビジネスメッセにも出展するそうなのでぜひ話を聞いてみてください。 http://www.arute.net/index.shtml
個々の企業の提供する商品・サービスに決定的な違いがない以上、営業力が成長を分けることはいうまでもありません。紙媒体を併用しながら手作り感と熱意を感じさせる営業が道を切り開きます。
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