「南四国SOHO立県構想〜SOHOと山村のコラボレーション」
 実験プロジェクトとして、木頭村が村内の生産物を売り出すためにつくった第三セクター(株)きとうむらで、オンラインショップを全国のSOHOとのコラボレーションで展開する計画が進行中。Web公開は12/1予定(http://www.kitomura.com)です。

 ご存じのようにいいWebができても人が立ち寄らない場合があります。Webができた段階はまだまだ山の2合目。今後Webは、作成業務よりも管理運営に中心が移ってくるでしょう。世の中には、プロが100万円で作成したWebサイトがビルダーでつくった素人作品にはるかに及ばない、なんてことも多々あります。それが人と人をつなぐ
「運営」というコミュニケーションです。

 そこで(株)きとうむらです。木頭村では、ご存じのようにダム建設が事実上中止となりました。30年間にわたってダムに翻弄された村内には問題が山積しています。しかし山村でくらしの営みが健全に行われることで森が涵養され、森林からは二酸化炭素を吸収して酸素を吐き出し、山の恵み[ミネラル]が海に運ばれます。つまり上流の山村は、下流の都市の生活をさまざまな意味で潤しているのです(おすすめ図書「森にかよう道」/内山節、新潮文庫)。

 都市に住む人たちがなんとか山村にエールを送りたい、ということで都市部在住のSOHOがWebの作成と運営に当たることになりました。具体的には徳島県在住のSOHOの女性がWebを作成して全国に呼びかけ、北海道から九州までのSOHO女性がオンライン店舗の応援団となり、それぞれにエールを送ったり、来訪者の意見を聞いたりコメントを投げかけます。

 こうして(株)きとうむらのWebを介して全国の人たちの心が結ばれ、そこを(株)きとうむらの商品が流れていくという構図です。コミュニケーションに沿ってモノが運ばれるというのが商売の基本ですよね。
 
 問題はその費用をどうやって捻出するかです。SOHOの女性たちにボランティアとして甘えることは好ましくありません。そこで、制作費相当を回収することを目処に売上歩合制を取り、月々の運営料として実費程度をお支払いする予定です。また彼女たちにとっても、注目度の高いWebになればその運営ノウハウがかけがえのない財産となるばかりか、ショップを管理する自分たちのサイトへの訪問者も増え、近県での仕事の受注に結びつく可能性があります。

 ショップにとっては広報効果はもとより、one to one 的なコミュニケーションによるファンが増えること、しかも固定費とならないので損益分岐点を上げずに売上増大につながるなどメリットいっぱいです。つまり事業者、SOHOの双方にメリットがあるしくみとな-ればいいのです。もちろん気配りのあるコーディネータの存在が不可欠です。

 さて、Webをじっくりご覧ください。あたたかい雰囲気があふれているでしょう。つくった人たちの思い入れがこもっていて(でも押しつけがましくない)人の顔が見えるサイトには、ひたひたと共感が行き来します。そんなWebサイトです。
 
 木頭村には近年になって一家で移り住んできた家族やモンゴル人の女性と結婚して木頭村にやってきたカップルもいらっしゃいます。みんな忙しそうですが表情がイキイキしています。村で暮らすこと、経済的にやっていくことが可能となるためには、村そのものをソフト(エコツーリズム)として売り出すことはもちろんですが、そのための情報発信基地としてSOHOコミュニティをつくることができれば若いIターン者が増え、地域の熟年者の生き甲斐になる---どんなにかすばらしいことでしょう。それが活性化ですね。

 楽しみながら自然のなかで仕事をする---自然志向というルール改正で、発展のバスに乗り遅れた南四国だからこそ可能性がある、ぜひともやってみたいでしょう? みなさんのご感想をお待ちしています。