「南四国SOHO立県構想」(2000年11月)


 情報技術のめざましい進展により、社会が劇的に変わろうとしており、情報技術のもたらす果実が、生活や産業構造そのものの転換を求めています。そこでは必要な情報を誰でも知ることができ、仕事やボランティアなどさまざまな形を通じて、地域社会への参画が濃密となる未来の姿が浮かび上がろうとしています。20世紀も終わりになって、生活者主権を求める人たちの前に拡がっていた世界がたまたまWebだったのではないかと思うのです。

 さて徳島県のベンチャー向け投資は二年全国で日本一となりました。ところが、徳島県内におけるSOHOの実態はほとんど明らかになっていません。またSOHOの人たちも、少なからず存在する企業や自治体の需要に対し、十分に掘り起こしているとは言い難いのではないでしょうか?

 つまり、情報技術の価値を伝えるプレゼンテーション技術や、交渉・営業といった普遍的なビジネス能力がSOHO側に不足するのではないか、との指摘が第一線のSOHOから寄せられています。

 一方、発注側からは、SOHOについての誤解やわかりにくさを指摘する声がある反面、ビジネスに不慣れなSOHOに対しては、不当な低料金による請負契約や未払いが生じるなどの実態も少なくないと考えられます。

 今後、地域経済が情報技術を背景に発展するためには、成熟した多数の専門家(=SOHO)が必要なことは疑いありません。そして需要と供給のマッチングを図るための公正な第三者機関の設置運営など円滑な取引のためのしくみやルールづくりが必要です。また「在宅で仕事を行う女性」というイメージの強かったSOHOを「専門的な情報技術を持ち、組織に属さずネットワークを活用して仕事をする人たち」へと捉え直すことが必要でしょう。

 以上のように、地域におけるSOHOと経済の間には課題が山積しているにもかかわらず、実態が不明なままSOHOという言葉が一人歩きしており、これらの問題に関する調査と啓発が急務となっています。

 そこで、(社)中小企業診断協会徳島県支部では、メールマガジン配信の「まぐまぐ」を使って県内および四国内のSOHOの実態調査を行うとともに、人選したSOHOによるオフ会(グループインタビュー)を行います。本調査により、SOHOがビジネスとして成立し、地域経済とのかかわりを強めるために何が必要かについて提言を行います。なお、巻末には徳島県を中心に四国のSOHO事業者のリスト(希望者のみ)を掲載します。調査結果については、2001年1月に報告書を作成して広く公表し啓発していきます。

 かつて南四国は、鳥取、島根などに次ぐ県民1人当たりの地方交付税交付金が多い「遅れた過疎地域」でした。しかしそのため自然が残されました。つまり情報コミュニケーションという道具を手に、自然のなかで人間らしく暮らすというベクトルでは時代の最先端を行くことも視野に入ってきました。まさにSOHOは南四国の発展のカギを握っています。

 しかしなぜSOHOなのでしょうか?SOHOが必ずしも効率のよい金もうけの手段だとは思われません。なぜSOHOになるのかについて、SOHO自身でも気付かない潜在的なメッセージがあるはずです。しかしこれまでに各地で行われたさまざまなSOHO調査ではその深層にまったく触れていません。予備調査の結果、この徳島県内に全国的に活躍している人がいることがわかったので、その人を調査委員に加えて実行委員会を発足させました。県内在住のSOHOの方、次のURLを見てぜひご応募ください。http://www.okimo.to/soho/