「顧客価値に注目していますか?」
もう数年すると日本の人口は減少に転じるそうです。老齢人口が増えて人口ピラミッドの高齢層が膨らんで生産人口が減少します。こうなればGNPの伸びは期待できません。
高度経済成長期では、供給が需要に追いつかず大量生産大量販売のマスマーケティングの経済でした。やがて80年代頃から、需要と供給が均衡して市場が成熟し、標的顧客を定めるターゲットマーケティングの時代になりました。ここでの目標は市場シェア(競合)です。
しかし、一人の顧客も生活場面ごとに購買パターンを変えてきます。例えば、洋菓子を買うにしても、自分や友人用に買う店と、贈答品やお使いものに買う店は違うでしょう。また90年代には珍しかったパソコンや携帯電話も一巡し、いまや家庭にないモノはないといっても過言ではありません。こんなモノ余りの現在では、いくらモノそのものにに焦点を当てても生活者の心に訴求しないのです。
そうなると、標識顧客を定めても、新規顧客の獲得が困難になってきました。なかなか新規顧客が見つからないか、見つかったとしても販売促進費がかかって割に合わなくなったのです。そんななかで、従来顧客が(例えその企業の商品やサービスに不満がなかったとしても)経験的に言って年間2割ぐらい自然流出しているのが「いま」です。
このように、マスマーケティングやターゲットマーケティングではうまく機能した規模の原理が働かなくなりました。その結果、大企業=安定が必要=すぐには変われない=時代の変化に付いていけない=リストラという図式になっています。ある意味では、創業のチャンスなのです。
このような時代に注目されているのが、従来顧客を重視し、できるだけ長い期間にわたっていい関係を保つコミュニケーション戦略です。その背景には、前述のように新規顧客獲得コストが高くつくようになったこと、上位2割の顧客が8割の利益を生み出しているという経験則があります。
経営から見た顧客価値は、その顧客が生涯いくら買ってくれるかです。例えば、アサヒスーパードライを毎日飲む(ビールはこのブランドしか飲まない)人は、30年間に200万円を超える金額を消費します。それに対して、6年に1度クルマを買い換える人がいて、特定のブランド(メーカー)に決めておらず、例えばトヨタのブランド指名率が30%とすると、150万円のカローラ級を買い換えるとすると、30年間でトヨタ自動車に費やされる金額は、毎日飲むスーパードライとほぼ同じ金額です。
このように少額であっても積もり積もれば大きくなることがおわかりになると思います。さらに、スーパードライに決めている人に対して、ブランドロイヤルティーが高いので販売促進費は少なくて済み、結果として利益は大きいものとなります。売上が上がらない時代だからこそ、利益を上げたい。そのためには、顧客コミュニケーションによって顧客価値を最大化する必要があることがおわかりになると思います。
それでは、どのようにすれば、顧客価値の最大化はなされるのでしょうか?
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