「理解しよう 一店逸品運動」



(1) 一店逸品導入のプロローグ
  • 商店街の商店主たちが集まって生活者の視点で商店街のなかから逸品を選んでみよう。その商品のどこが良いのか発表してみよう。メンバーが打ち解けるきっかけとなるかも(趣味の自慢話でもいい)。まずは気軽にそこから始めてみては? 
  • 会議は堅苦しくない自由な雰囲気で(ブレーンストーミング風に)。どんどん話題提供してみよう。思いつきはすべて書き出してみよう。参加している人は全員が意見を出せるように右回り(左回り)で話をしよう。
  • マンネリしてきたら食べ物をテーマするのも吉。食べることは楽しいので人が集まる。楽しいことは長続きする。そして常識を打破しよう。そこには「自店とは業種が異なる他の店の内部を覗き込むようにおもしろさ」が!
  • 自分の店だけのオリジナルをつくろう(OEMでもできる)。自分がとことん使ってみよう。商品を育てるために惜しまず納得が行くまで地道な改良を続けていこう。その姿勢がお客を惹きつける。
  • いまの時代はチラシのみならずWebやブログが使える(特にマニアックなもの)。Webサイトをeコマースでなく情報提供して顧客誘引に使える。これからの一店逸品運動はインターネットやブログで展開することも有望。
(2) 一店逸品の精神
  • 自分だけで解決できないことも、みんなの知恵を集めて新しい視点で越えられるかもしれない。
  • 一店逸品のテクニックだけをマネしない。チラシを出すことが目的ではない。みんなで開発を行うプロセスが大切。失敗や試行錯誤のなかに光るものがあるかもしれない。テクニックよりもその精神、感性を学ぼう。委員会では素人の感性でホンネで意見を出し合える関係になろう(なれる)。
  • 商売熱心だけれども忙しくて商店街活動に不熱心な商店主を巻き込もう。きっと力になってくれるはず。
  • 一店逸品運動は最終的に利益を出すことが目的。そして「商売に不熱心な人の目をさまさせる」。
  • 消費者(生活者)とプロ(商店主)の常識、感性はズレがある場合がある。生活者の視点で見つめ直そう。実力があるのに商店主が気付いていない商品を掘り起こそう。
  • 店長自身が買いたい商品であればその思いは伝わる。あの店長が選んだ商品、あの人のために仕入れた商品には顔がある。もちろん店主、看板娘を知っていただこう。そんな顔が見える商売をやってみたい(商売の原点ではありませんか?)。
  • 専門店こそ生き残ると信じたい。「専門店の当たり前のこと」がお客にとって新鮮。でも専門店の良さがこれまで伝わっていなかった。値頃感&価値のあるものを扱い、情報発信をするのがこれからの専門店。一店逸品運動はそのための道具。
  • 最初は、自分の店の悩みを解決するヒントをもらう気持ちで参加していいのでは? 最終的にひとつでも商品が多く売れればいいという感覚で。
(3) 一店逸品で注意すること
  • チラシを出すことが目的ではない。異業種の知恵がぶつかる過程のなかに宝物がある。
  • チラシには実力のある商品だけを載せる。実力のない商品を売り込もうとすると逆効果。かえって信頼を失う。
  • 商店街から生活を提案しよう。和の視点、環境(社会性)の視点などさまざま。
  • 売れなくなった商品(消費者の感性からずれてしまった)から脱却するタイミングを見失わないようにしよう(わずかな前兆をキャッチして判断しよう)。
一店逸品運動 実施段階の留意点
1,定例会の開催
  • 趣旨の確認、目標の共有(ぶれないよう)
  • 実施の評価(改善のためのPDCA)
  • 商店主が逸品をメンバーにプレゼンし、メンバーは生活者の視点で判断する。これまで当り前と思っていた販売の常識が崩れることも(こんなことが受けるのか?の驚き)。
  • その商品の魅力がどこにあるのか、その価値を必要としているのはどこの誰、なぜ受け容れられるのか?を考える(マーケティング、販促精度が上がる)

2,売上向上につなげる視点(先進事例をマネすることなく、身の丈にあったやりかたを創意工夫)
  • 買い物ツアー(各商店が商売抜きで商品の説明をし、客はそれを楽しみにまわる)の実施。年に数回程度の開催で客は楽しみに待つ。これまでなかった店主とのふれあい、商売抜きの商品説明、こだわりのものづくりが顧客の琴線に触れてファンになることも。
  • 100円市の実施(2か月に一度の年金支給日に合わせて各商店が100円の商品、サービスを限定販売。告知は合同チラシで)。100円の商品でもこれまで来なかった顧客が来店する。店へのなじみのきっかけであり、ついでに他の商品を買ってもらえる。小売店は買わずに帰ることがむずかしいため店主が考えるより敷居が高いが、100円市はその壁を越えて来店動機=新規顧客獲得の契機となる。
3,媒体、手法の吟味
  • チラシが主力となるが、インターネット(ブログもあり)も有望。
  • インターネットでは、販売(ネットショップ)ではなく来店してもらうための情報提供に徹する。
4,逸品個別アンケートの実施
  • 定期的に逸品のアンケートを取る。満足度の高い商品は別途紹介することも話題づくり。
  • 商品を試食(食品の場合)、割安で販売、貸し出す(高額商品、耐久消費財)などでアンケートに記入してもらう。アンケートは別紙のようなシンプルな項目で良い。
5. チラシ、Web作成のコンテンツ作成に専門家の支援
  • 生活者の視点で使用価値を伝えるには、売り手の言葉を買い手の使用価値へと変換するコピーライター視点が必要。いわば、売り手の思い×スキル(説得)→ 生活者の共感(納得)につなげる。
6,スキルアップのための専門家による勉強会実施
 基本は定例会によるメンバーの切磋琢磨だが、新しい知識や見解に触れることも動機付けになる。
(1)説得して売る、納得して買うための情報発信(使用価値を情報化するための技術)
・ 文章を書くコツ。キャッチコピー、リード、見出し、本文等
(2)景表法、薬事法等に対する注意点(合理的な客観性が必要)とその対策
・ 景表法が強化され、誇大表現に対する公取の規制強化。合理的な客観性をどう確保するか
(3)デジカメ写真の撮影法と画像処理
・ 主題の強調、引き立て方、光線の処理、フォトショップによるレタッチの技法等
(4)個店の接客、展示技術、POP等
(5)インターネットでの情報発信のコツ
(6)マスコミ活用の視点、仕掛け法。プレスリリースの書き方
(7)OEMとテストマーケティング(オリジナル商品が利益の源として挑戦する価値あり。いくらなら売れるか値頃感の見極め必要→グループインタビュー等のテストマーケティングの実施。小ロットでつくってもらえるしっかりとした製造元の探索、秘密保持・販売契約、原価計算等)

 

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