「BtoBへの架け橋〜BtoCで学んだこと」
ECサイトの運営に携わっている人たちが経験的に知っていることですが、
(1)大手企業やその連携は成功しない
(2)資本力は関係なし
(3)意思決定の速度が重要
(4)1対1のコミュニケーションが大切である
BtoCでの成功事例を見ると、個人事業所またはせいぜい数人で運営されている年商数千万円〜数億円オンライン商店であることが多いのです。
その一方で鳴り物入りでプレスリリースされた大手企業やそれらのコラボレートサイトがうまく行っていません。
その原因として、ビジネス規模が大きいことが問題を投げかけているような気がします。規模に見合う収益を上げるためには、月商20万円程度では話にならないので、一攫千金を狙うコンセプトで始めます。インターネットは特定の要素を広範囲に情報発信できるため、「自分を必要としてくれる人」と「自分が必要とする人」をセルフマッチング(取引)できるわけですが、それは同時に、必要としてくれる人を見つけるには、テーマを絞りこむ(ニッチ市場)必要があることを示唆しています。過大な売上を狙うビジネスモデルがコンセプトを魅力のないものにしているのです。
できるだけ初期投資を抑えて小さなビジネスから始める---この前提が成功のための一つの条件といってよいのです。
しかも互いの顔が見えないだけに、お客様一人ひとりと密度の高い接客をする必要があり、組織ぐるみのマニュアル対応では好感度を高めることはむずかしいのです。こんな名言があります。「人はネット上で生身の人間に会うと感動する」。
お客様との親密性、意思決定の迅速性といったone to one やリレーションマーケティングの要素。これらは小さなビジネスではもともと備わっている要素です。「いつもの…」と注文してくるお客に対して「あの人はこれ」がわかるのが個人事業所です。
しかし規模の拡大に伴って購買履歴と顧客属性を整備した顧客データベースが必要となってきます。
商品を販売するサイトの場合、物流によほどの設備投資をした事業所でもなければ、相当の規模になってもパートやアルバイトによる手作業が中心となります。配送は、説明や設置を要する製品とかエリアが限定されている場合を除いて、自社宅配や専用便を持つよりも運送業者に委託するほうが効率的な場合が多いでしょう。
ECサイトでは顧客の利便に配慮してクレジット決済が増えてきました。そのためには法人の信用が必要となりますが、すでに法人化している場合や、個人であっても売上が伸びる頃には法人化している可能性が高いため、この点は問題ありません。
規模の拡大に伴う物流、出荷、顧客管理といったバックヤード作業に固定資産投資投資が必要となる一方で、メールマガジンの発行によるお得意様の優遇など顔が見える関係を維持していく。そのバランスと矛盾がつくりだした壁が、年商数千万円から数億円となって横たわっている可能性が高いのです。おそらくこの辺りがBtoCのもっとも効率的なビジネスボリュームでしょう。
(BtoB=企業間取引、従来取引のなかった企業同士がインターネットなどを媒介して相互にメリットのある取引を開始するビジネス。BtoC=企業・一般生活者取引。従来流通や卸業務をしていた企業などが直接消費者に販売する形態。個人事業所のオンラインショップもこの形態に含まれる)。
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