知的な生産活動の選択その2〜携帯から070へ
次のような場面に心当たる人はいないだろうか。ベルが鳴る、電話を取った、相手の声がする。「もしもし…」。「あっ、その声は○○さん?」。そう、固定電話では声を聴くだけで相手がわかることが多い。音質の帯域が広く鮮明だからだ。しかし携帯電話だとどうだろう。

もっとも普及しているDブランドの携帯電話は、鼻声のような音声でわからない(だから「おれだよ、おれ」という詐欺がはびこるのかも)。先日キャンプに行ったが、友人のDブランドの携帯電話を借りて自宅へ掛けてみたところ、見知らぬ男性が出た。思わずていねいな言葉で聞き返してしまった。それは親父だった。作り話ではない。

携帯電話はますます混迷化している。デジカメが付く(といっても実用には程遠い)、動画が撮れる(あの貧弱な画質を小さな画面で?)、着信すると歌が流れる。しかし通話品質は悪い、端末は複雑で使いにくい、料金は高い、電磁波の問題は解決していない。それを求めるユーザーが悪いのか。「売れるならなんでも」という携帯電話のマーケティングには、コミュニケーションの道具として生活者を幸せにするというような理想が感じられない。

機種変更された携帯電話はゴミの山と化している。そのなかにイリジウムのような貴重な鉱物資源もあるらしいが、有限の石油資源はいったいどうなる? 廃棄物処理の結果、大気や水質の汚染はどうなる?(念のため申し添えると、ぼくは買ってから一度も機種変更したことがない)。

これを防ぐには、携帯電話の価格を正常に設定し直すことである。本体のコストは3万円〜5万円でも不思議はないところなのに、1万円前後で手に入る。そのため性能の良いカメラ付き携帯を新規契約してすぐに解約し、デジカメとして使う人もいるという。ほんとうにこれでいいのか。

ぼくの友人たちに聴くと、広いエリアが必要なので仕方なく携帯を使っているが、電話機として使うことが多い。無駄な機能は不要、折り畳みはかえって使いにくいという人が多い。それなのに、音質を向上させる、受信感度を上げる、液晶をモノクロにしてでも充電間隔を伸ばす、生活防水にするなどといった電話機としての本質的な向上に目を向けた機種があるだろうか(あれば教えて欲しい)。

通話料も高い。もっとも普及しているDブランドでは、月間の支払額が1万円を切る人は少ないのではないだろうか。なかには2万円を越える人も珍しくない。

こうしたときに、理知的な選択をするのなら、選ぶべき方式がある。
それが、070(DDIポケットのエッヂ方式)だ。

固定電話なみの音質なので、事務所の固定電話で話をしているようだ。相手方にもクリアに聞こえているらしい。しかも通話料金が安い。仕事でかなり使うが、ぼくの月間の通話料は5千円を切る。多くて6千円台までである。

良く知られたことだが、固定電話から掛ける人にとってはエッヂは通話料の負担が少ない。ところが携帯にかけるとき、あるいは携帯からかかるときはどうだろう。しかしこれも携帯同士と同料金である(知っている人は意外に少ない)。このように他人の財布にもやさしい。

いいことはまだある。一度充電すると、1週間ぐらいは充電が不要。さらに電磁波の輻射が少ないから身体にやさしい。技術的には、許可さえ得られれば病院のなかで使っても差し支えない。もちろん電磁場をまき散らす一般的な携帯電話と間違えられる怖れがあるので自重したほうが望ましい。電磁波の害については、一定の公式見解はないようだが、ぼくは自分の脳に携帯の電磁波を浴びせたいとは思ったことはない。

エッヂのエリアは、都市部では、むしろ携帯より広いといわれる。携帯電話に及ばないのが、山間部での通話地域だ。先日、クマの生息するブナの森を見に行ったが、クマの糞を見ながら自宅と話ができた。これはDブランドの携帯である。

ぼくは、どちらかといえば、山間部などに仕事に遊びに出掛けることが多いが、この3年間、エッヂだけを使っていて困ったことは一度もない。それが入らない地域であっても、狭い日本であるから数時間以内には電波が届く範囲に戻るという事実。

しかも大多数の携帯ユーザーにとって、日常生活で山間部に行くことは少ない。1年間のうち、電波が届かない地域に行くことがほとんどない人が、なぜ090を使うのかぼくにはわからない。徳島市内に住んでいる友人たちの生活パターンを思い浮かべてみると、こと通話地域の広さで携帯を選ぶ理由は見当たらない。

ぼくの妹は、携帯を使っているが、彼女がもしエッヂを使ったとして不便になることはほとんどないと言ってよい。徳島のような地域でそうなのだから、都市部に住む人たちには、エリアを理由に携帯を選ぶ理由はまったくない。

騙されたと思って、エッヂに変えてみてください。相手の感情が感じられるような音質、数千円(そのほとんどが5千円以内)の月間料金、忘れるほどの充電間隔。メール放題という機種もある(ぼくはそれには関心がない)。

そうそう、今月の日経パソコンの記事のなかには、雑誌の編集者のなかにはなぜか070が多いという。コミュニケーションを大切にする仕事のプロには、070でなければと考える人が多い。

今からでも遅くない。携帯から070へ。あなたもどうぞ。

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