四国産のお好み焼きを食べ、地域共同体に思いをはせる
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土曜日の朝、食べるものがない。とっさにお好み焼きを食べようと思った。昨日買ったキャベツ(いまの時期は安くないが)にフィッシュかつ(小松島名産で魚肉をカツにしたもの。カレー風味で小松島の朝の食卓ではおなじみのものだが、小松島の住人としてはやや食べ飽きた感もある)を入れることにした。 まずは、近所の津久司蒲鉾まで歩いてカツを買いに行く。近年は、東京方面の人が酒の肴やおかずとして好んで買っていくらしい。 出汁は、昆布と鰹節とし、冷ました出汁で小麦粉を溶く。キャベツを刻む前に、包丁を三本研ぐ。粗砥石で1分、仕上げ砥石で1分、バリを取るのに段ボールを切る。3分で三本の包丁が研げた。 たっぷりキャベツを食べたい。さっそく研いだばかりの包丁でサクサク切る。力を入れなくても気持ちよく刻める。 フライパンに油を敷き、カツを並べ、キャベツの入った本体を流し込む。中まで火を通すために最初はフタをするが、途中からパリっとした食感にしたいからフタを取る。フライパンでは、空中で何度かひっくり返すと表面がこんがりする。 仕上げは、徳島の光食品のソース。数十年前から無農薬栽培の素材に取り組んだが、どっちの料理ショーで紹介されたように、いまや全国的にうまい定番ソースとなった。吉野川の土手の下にある上板町の同社の工場では、最新の設備を取り入れて品質や安全管理を重視している。さらに吉野川産のアオノリと土佐清水の倉正の削り節をパラパラ。これでできあがり。 我ながら、店で食べるのよりうまいかも。こんがり感としっとり感がブレンドされ、ほんのりと出汁のきいたベースに新鮮なキャベツ、ジューシーなフィッシュカツが口のなかでブレンドされ、とろけるようだ。 なんといっても(小麦粉以外は)地場の素材だけを使っている。その土地でつくったものを食べることを「地産地消」というが、食と農の安全については、このところ失態続きの農水省がもっとも力を入れているテーマのひとつ。 学校給食では、地域のお年寄りが趣味でつくっているような野菜を使ってみたい。孫が食べるものなら品質や安全に気を配るし、例えわずかであっても小遣いが入ってくる。お金はともかく、子どもたちが自分のつくる野菜を待っているんだと思うと生き甲斐になる。そんな地産地消モデルは各地で試みられている。 相変わらず虚しい「構造改革」をよそに、地域共同体のなかで続々と新しい試みがなされている。県内のある町では、町内に8割近く普及しているケーブルテレビの活用によって、商店街のコミュニケーション機能をいまの時代に再定義しようとしている。それを「一店一品運動」と呼んでいるが、モノに焦点を当てた既存の「一店逸品運動」とは似て非なるものだと思う。お好み焼きを食べながら、地域コミュニティの活性化に思いをはせている。(8月30日) ▲戻る |