それでもやっぱり銀塩〜一期一会の光だから
キャノンのデジタルカメラを使い始めて9か月。小さくても色の再現性や解像度は良いのでついつい多用してしまう。仕事でその日のうちにパソコンに取り込んで報告書の画面に貼り付けられるしWebの更新も頻繁に行える。フィルムのように撮影を終えるまでもなく、現像を待つまでもなく。「あっ、目を閉じているよ」と撮影後にわかるところがおもしろい。

ポジフィルムをスキャナーで読み込んだ画像とデジカメを取り込んだ映像と比べてみると、スキャナーの性能がネックとなっているのか、JPEGで数百キロバイトの画像であっても解像感や色の鮮度はデジカメから取り込んだ映像に分がある。

ミルノタハイマチックF、アサヒペンタックスSPF、ライツミノルタ、ミノルタX700と使い続けてきて、未だにオートフォーカスに手を出していない。だってできるだけ長く使いたいから。カメラは好きだけど、機材に投資するよりも自分に投資したい。

そんなこと言いながらもデジカメの利便性がわかると、ついついデジカメの一眼レフタイプを考えてしまう。でもディスプレイ上で見る限りS30でも十分に美しい。画像サイズが1024×768のJPEGで圧縮率を上げている。画質よりも撮影枚数とシャッターチャンス優先だけど、Webや報告書ならこれで充分。

デジカメの良さはわかった。でもアナログ銀塩のX700を構えていると、明るいファインダーと単焦点の明るい色鮮やかなMDレンズを通してみる映像が立体的で詩情さえ感じるから、ついつい夢中になる。撮影に同行してくれる人がいたら、シャッターを押したあと、ファインダーを覗かせてしまう。そうして「ねっ、こんな感じ」と言ってレンズがつくりだす世界に浸っているだろう相手の表情を見るのが好き。

キャノンのデジタル一眼レフを買おうかと思ったけどやめた。最高のできばえのポジフィルムを見ると、豊かな階調と色彩、なにより立体感がデジカメと違うことに気付いた。南太平洋も南アルプスも屋久島も東北の山も経験しているX700。何本かの単焦点レンズとともに数え切れない人の一瞬を切り取ってきた。そしてぼくの好きな四国の川とそこに生きる人も。

写真を撮るって楽しいよ。いい場面があれば、駆けだしていけるんだから。望遠は好きじゃない。よく使うのは、28ミリと50ミリ、それに85ミリの明るい単焦点レンズ。そうしていい位置まで自分が動いてシャッターを押すと、なにかシンクロしたような気になる。

七色に輝くレンズのコーティングのX700にもっともっと動いてもらおう。ぼくの人生でこれからもあるだろう、一期一会の光を銀塩フィルムに焼き付ける。カメラに語りかけているようで、自分自身に言い聞かせている。
いかにも光を集めそうなレンズのたたずまい。85ミリF2 軽いからどこにでも走っていける。50ミリF1.4

撮って欲しい人がいれば、もしかしたら撮ってあげるかもしれない。職業はカメラマンではないけれど、全国誌で写真の依頼の仕事を何度かしたことがあるんだよ。
(9月5日)

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