波照間の黒糖を味わう
さとうきびに生きる波照間の黒糖は絶品である。沖縄でも良質のきびを原料とする波照間産。その日本最南端の島でつむがれる黒糖は、さとうきびの蜜の甘みをそのまま濃縮したもので素朴なデザインの厚手の紙箱に入っている(もしかしてこの箱は搾り粕の繊維なのかなとも思った)。箱には「波」と大きな印字。波照間精糖の頭文字だろう。うまみを素朴にアピールしているが媚びていない。このパッケージは、口に入れる前からうまいと感じられる。

実は波照間黒糖の評判を知らずして雰囲気で買ったが、これがうまい。素朴な食べ物なのだけど、ついつい手が出る。蜜の濃さ、それでいてあっさりとしていてい何個でも食べられる。コーヒーやお茶受けにいい。空腹のときに小さな塊を時間をかけて舌のうえで転がしてみる。至福の瞬間が訪れる。こんなものが地元八重山では二百円前後で手に入る。

ただし200グラムで二百円だから量産している黒糖に比べれば高い。それでも黒糖がこれほどうまいものだとわかれば、高価な和洋菓子一個分で一箱買えることを逆の立場でどう理解すればよいのか複雑な思いがある。島の人が総出で手間をかけてつくられていることは知らなくても食べればわかる。ほのかな苦み、そして幾重にも重なった節度な甘みのふくよかさ、それでいて雑味のない深み。何度でも食べたくなるけど、箱を見るだけで我慢することもある。本土で和菓子や洋菓子をつくっている人は、これを食べたらもう自分がお菓子をつくる意味がないぐらいの衝撃を受けるだろう。おおげさではない。ある意味でこれは究極の菓子ではないか。

地元スーパーでこれを見つけた。ところが翌日買い足そうと行くともう売り切れだった。週末に買いに行く人は品切れで手に入らなかったわけだ。もっともみやげ用でない袋入りもある。内容量からすれば袋入りがお得になっているのでは。


波照間島のさとうきびについての記述は以下のWebに詳しい。
http://www.kt.rim.or.jp/~yami/hateruma/sugar.html

沖縄県黒砂糖工業会では沖縄の純粋な含蜜糖について一目でわかるマークを与えている。
http://www.okinawa-kurozatou.or.jp/
この印が付いていれば、波照間にこだわらずとも手間をかけてつくられた沖縄産の黒糖であり、うまいと感じられると思う。沖縄産の黒糖はミネラルが豊富で安価な健康食である。



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