ビオトープの学校「千年の森で語ろう」その3
頂上で小休止をしたあと、リョウブなどの林を降りていく。子どもと貴代さんは転げるように走り降りていく。これは慣れると楽しい。身体の重心を前に預け、手足を猿のようにしなやかに動かしてバランスを取りながら下る。スピードが出るけど意外に楽。ただし荷物がない場合に限る。下りの途中で休憩中。サングラスの男性が矢部さん。

  

 

駐車場まで下山したあと、貴代さんはみそ汁を作ってくれました。アメゴ、大量のネギ、自家製こんにゃく(夕べよなべしてこしらえたそう)、その他自宅の畑の野菜をこれまた自家製みそに浮かべたもの。これがおいしいと評判。多い人は4杯もお代わりをした。
 
午後からは、徳島県林業振興課等のスタッフによる千年の森高丸山の現地説明会。駐車場から降りていく作業道の幅はユンボが通れるぎりぎりの2メートル。工法にも工夫があります。法面(切り崩した斜面)は、植生を残せるよう地面からわずかしか崩していません。その分、下り側の盛り土が多くなりますが、生態系に与える影響は少なくなるとのこと。

林道が傷んだり大雨で崩壊するのを防ぐための工夫があります。それが一定間隔で埋設された木杭の溝です。ここを水が流れていくために土が削り取られる(それはやがて崩壊につながる)ことがないのです。木杭の溝は、10メートルぐらいの間隔で設置されています。
  

この木杭の溝がさっそく効果を発揮しました。上勝町では、8月に1000ミリを越える雨量を記録した日がありました。水俣市で山腹崩壊したのが400ミリ(?)ぐらいだったと思われますが、ここでは崩壊は皆無でした。

作業道を注意深く設置することは、木を必要なときに最小限の労力(=コスト)で伐り出すためのしくみ。それは、林業を経済的な循環で捉えるために必要なことです。

つまり林業が経営として成り立ち、山の手入れができることを目標としています。地球環境を考えると、暮らしのなかにもっともっと木が入ってくる時代が来るかもしれないと、説明をしていただいた徳島県の早田健治さんは言います。そのために、生態系を影響を与えないような作業道を縦横無尽に山に張りめぐらす必要があるのです。

写真のような作業道は生態系にあまり影響を与えていません。環境破壊の影響が大きく維持管理費がかさみ(自治体の悩みの種)、しかも林業経営にほとんど貢献していない大規模林道とは似て非なるものです。

 
写真の裸地が県民が森づくりをしていく場所です。グループをいくつか募り、地元で育てた苗を移植してその生長を見守っていくことになります。申し込みは、冒頭の林業振興課まで。

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