第9回 ビオトープの学校〜森の種子を集めよう その2
  もう一人の講師は、早田(そうだ)健治さん。県の農林事務所で林業振興に熱意を注ぐ。このような人が県政の森づくりを担っているのは心強い限り。県内にも林業経営でうまく行っている事例がある。現地へ向かうクルマのなかで県内の林業振興に対する熱い思い、助言をいただいた。

左は、早田さんがかつて著した「阿波の1000m峰」。徳島の千メートル級の山々83座を紹介したガイドブックとして好評を博した。1987年の発刊で現在では入手がむずかしいかも。

「私たちがお待ちしています」
ブナの天然林で名高い上勝町内の高丸山は、徳島県の「千年の森」に指定され、さまざまなソフト事業が考えられている。

その基地となるのが、「自然の宿あさひ」に隣接した千年の森ふれあい館。常勤スタッフのお二人も仕事の傍ら、勉強会に飛び入り参加。この施設は単なるハコモノに終わらせないよう、どんどん活用しよう。

そのひとつとして、高丸山を訪れた人たちの写真や作品、フィールドサインによって展示物が充実するしくみがある。千年の森を知る(県民が参画する)ことで健全な森づくりへ結びつけたい、とのねらいが込められている。
田中貴代さん(写真左の左端)は、地元で林業を楽しくやっていこうとされている。いつも全身でそのことを表現しているようだ。
写真左の右から2人目は、米田潤二さん(勝浦川流域ネットワーク副代表)。「千年の森づくり構想策定検討委員会」で委員長を務めた。
早田健治さんは、イヌシデ、クマシデ、アカシデの見分け方など、樹木の明解な判別法を教えていただいた(写真右)。
一見、ハゼの木そっくり。ハゼを知る人は触るとかぶれるので近づかない。しかし写真のこの木は触っても大丈夫。実は、ハゼではなくヌルデ。見分け方は、茎が葉っぱのようになっている(翼葉=よくようという)。

下はカエデ。プロペラのようにひらひら舞いながら種子を遠くまで飛ばす。ところで、「モミジ」という学名の木はない。「イロハモミジおよびその近縁のカエデ類の別名」(三省堂 『大辞林 第二版』)とあるように、一般的な呼び名である。




道ばたのオニグルミの実を割った。食べられる木の実の代表格。実を取り出すと手が緑色になる。

道ばたで拾っていた木の実は、カヤの実。緑色の全体を洗うと茶色の種が顔を出す。風呂を湧かす際に、焚き物の灰にくべておくとアクが抜ける。翌日食べるとおいしいと田中さんは教えてくれた。今回はフライパンで炒った。栗のような香ばしい風味。
千年の森ふれあい館の内部(写真提供/徳島県林業振興課)。

徳島県立高丸山千年の森
千年の森ふれあい館

◆会館時間
 9時〜16時30分
◆休館日
 毎水曜日、年末年始
◆入館料
 無料
◆施設利用
 レクチャールームや体験作業所でイベントや研修を行う際は、許可が必要。
◆問い合わせ先
 08854-4-6680
 fureaikan@fm.nmt.ne.jp
徳島県勝浦郡上勝町大字旭字中村66-1
この日に実物を元に説明を受けたのは、アカメガシワ、ケヤキ、イヌシデ、クマシデ、アカシデ、キブシ、ガマズミ、コバガマズミ、オニグルミ、カエデなど。
[参考サイト、文献]
◆「山渓カラー名鑑 日本の樹木
徳島県林業振興課
◆  「千年の森へようこそ」(同課)
千年の森ふれあい館(徳島県立高丸山千年の森)

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