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東新町商店街活性化へ向けての提言〜要約
1.要約

東新町商店街について平成14年3月に実施した3つの調査について報告する。3つの調査とは、商店街を通行している客層について調査する「通行客属性調査」、商店街の通行客がどれくらいの割合で商店街内の個店を利用しているのかを調べる「通行客入店率調査」、商店街のイメージや商店街に対する要望・不満を直接通行客から聞き取る「来街者アンケート調査」である。

(1) 通行客属性調査
[目的]
・ 東新町商店街の時間帯や顧客層を絞った販売促進の材料とするために、午前〜夕方に至るまでの時間帯における通行客数とその属性(年代・性別・職業)を調査する。
[調査法]
・ 東新町商店街へ入ってくる通行客の人数および属性(性別、年代、職業等)を目視で判定。観測地点は、東新町へと流入する入り口である阿波銀行前とコルネの泉前である。
・ 調査期間は、平成14年2月20日(水)〜2月25日(月)(土・日は除く)と3月4日(月)の5日間でサンプル数は5090。調査員が2人1組となってそれぞれ阿波銀行前・コルネの泉前に立ち、東新町商店街へ入ってくる通行客を追跡してチェックシートに記入、各項目をエクセルで集計した。
[結果の概要]
・ 通行客数は17時台が最も多く、次いで14時台、12時台である。午前中および16時台の通行客数は少なかった。
・ 通行客の属性については、男女比は4対6と女性が多かった。職業は主婦の占める割合が高く、午前中は中高年の主婦、15〜17時は高校生以上の学生の割合が高い。また昼休み時間と17時以降には会社員の割合が増えた。
・ 阿波銀行前からとコルネの泉からの来街者にはやや属性に違いが見受けられる。
・ 阿波銀行前からの来街者は50代中心、コルネの泉からは比較的若い世代が多い。
・ いずれにしても、子育て等で多忙とされる30代が少ないのは気掛かりである。

(2)来街者入店率調査
[目的]
・ 東新町商店街の通行客がどれくらいの割合で商店街内の個店を利用しているのか(あるいは素通りしているのか)、実際に入店する割合を調査し、今後の販売促進や効果的なイベント実施に向けての材料提供とする。
[調査法]
・ 調査員が阿波銀行前、またはコルネの泉前に立ち、東新町商店街へ入ってくる通行客を追跡しながら入店するのか素通りするのかを確認する。入店した場合、最初に入店した店名を記録した。
・ 方法は、阿波銀行前から入ってきた通行客を追跡した後、コルネの泉前からの来街者を追跡しながら商店街を往復する。通行客の性別や年代、職業などに偏らないように留意した。
・ 期間は、平成14年2月27日(水)〜3月1日(金)の3日間。時間帯は、朝(10時30分〜11時30分)、昼1(13時〜14時)、昼2(14時〜15時)、夕方(16時〜17時)の4パターンでサンプル数は1303である。
[結果の概要]
・ 14時台の入店率は若干低いものの、終日を通して入店率は45%を超えた。半分弱の人たちは買い物を目的に商店街を訪れていることが判明したが、入店率の高い上位3店はいずれも日常的な商品やサービスを扱う最寄店でかつて東新町のイメージとされた買回品店ではなかった。

(3)通行客アンケート調査
[目的]
・ 東新町商店街のイメージや顧客の潜在的な要望、不満を探ることが目的である。
[調査法]
・ 東新町商店街内の「てれごじスタジオ」前にアンケートコーナーを設置(長机×3、パイプ椅子×9)。通行客に声を掛けてコーナーに誘導、アンケートに記入してもらった。回収率を上げるため、回答者には粗品を進呈した。
・ 平成14年3月11日(月)〜3月14日(木)の4日間の調査でサンプル数は500である。
[結果の概要]
・ 商店街のイメージとしては、「街並みはきれいだが活気がない」「さびれている」といったマイナスイメージがある反面、「アーケードや舗装が印象的」と整備されたハードを評価している。換言すれば、ハードはいいが、ソフトの印象が薄いということになる。
・ 東新町商店街を利用する理由については、なじみの店、近くにあるからなどといった回答が多く、比較的周辺地域の生活者や通勤・通学者が利用するなど日常的な位置付けの商店街として認知されている。
・ 商店街の不満では、欲しい商品がないという品揃えに対する意見がもっとも多く、次いで、駐車場に対する不満の声が聞かれた。
・ 東新町商店街に欲しい店としては、雑貨屋が最も多く、次いで衣料品・バッグのブランドショップ、洋・和菓子店、産直生鮮食料品店と続いた。
・ 商店街がイベントを行うことについては賛同の意見が大半を占め、希望するイベントとしてはリサイクル市やフリーマーケットに人気が集中した。
・ 年初に行われた初の合同セールについては認知度、利用度はもうひとつである。
・ 今回の調査は、土曜日、日曜日には行われていないので、周辺地域の生活者や通勤通学者などによる日常品の買い物客が多くなったと考えられる。商店街の性格を掴むためには、追って土日の調査が必要である。
・ 年代ごとの不満では、40代未満は京阪神に魅力を感じており、「欲しい商品がない」や「街並みの魅力がない」をその原因として挙げている。
・ 50代では「買わずに出にくい」が目立つが、50代以上の世代の3/4は「接客されるのが嫌」と答えている。60代でも「開放感がない」「入りにくい」、70代でも「接客されるのが嫌」がもっとも多く、熟年者への接客は再考を要する。
・ 年齢別に見ると、年齢によってかなり異なる傾向示す回答と、ほとんど変わらない傾向を示す回答があった(詳細はクロス集計の項参照)。