「提案するとは?」

 提案することは、「受け容れられる」代替案を示すということです。提案するということは、相手の要求と違うことを主張することですから、それが受け容れられるかどうかが問題です。

 その前提条件として相手の言うとおり、つまり仕様書通りに仕事をする能力があることが前提です。言われた仕事がきちんとできて始めて信頼関係が生まれるわけですから、初対面の相手に提案を納得していただくのは何度も取引をしている相手先よりも困難です。

 競争相手よりも依頼主の利点が大きくなる方法を探ることが最初のステップというのはおわかりいただけるでしょう。効果的にプレゼンするためには相手のニーズを徹底的に研究する、そのためには相手との接触を増やす必要がある、となれば「積極的に相手の話を聞く」ことが重要となってきますし、最初の訪問はことさら重要です。

 まずはお試ししていただく戦略的な価格を提示して接触の機会を増やすことが営業戦略として行われる場合もあるでしょう。「熱意だけで何度も押しかけて」というバリバリスタイルだけでは通用しなくなってきていることは確かです。

 さらに提案という要素には(こちらが考えたことであっても)相手が自主的に選択したという雰囲気が大切です。そのためにコーチングのスキルの研究も必須です。

 ということで、提案とはこちらの主張を通すというよりも、相手が受け容れやすくかつこちらにもメリットがある領域を探してピンポイントで光を当てることです。

 研究するところは、
(1)相手の求める本質(譲れないところ)は何か?
(2)その実現のためには変更できるところはどこか?
(3)変更が受け容れやすい心理や環境はどうすれば整うか?

相手が受け容れやすい方法とは、
(1)同じ性能、効果でコストダウンが図れる場合。つまり品質を落とさずに同等の効用が得られる場合。
(2)価格は同じだが、顧客の評判が良い、納期が短縮できるなど、ほかと差別化できる要素や競争力が高まること。
(3)上記に加えて最新の成果の応用やノウハウの導入など担当者の手柄につながる内容を盛り込む。

 つまり提案とは、相手の立場に立ち、その実現のためにこちらが提供できる素材を変更したり方法を改善したりして、相手にとっての利点を高めて相手の満足度を引き出すことにほかならないのです。
 
 宿題として読者のみなさんに考えていただきたいことがあります。マイラインの選択として各社が自社を選んでいただくために熾烈なテレマーケティングや飛び込み営業を展開していますね。ところが電話を取ったあなた、応対したあなたは好意的にこれらに反応しているでしょうか? 

 例えばあなたがA社のマイラインを売り込む営業として、成約に結びつけるためにあなたは何をすべきでしょうか? また会社としてはどのように営業を支援すべきでしょうか? 提案型営業ということで、じっくりと考えてみてください。まずはどうすれば好意的に話を聞いてもらえるか、という一点に絞って考えてみてはいかがでしょうか?


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