「ある商工会の試み〜会員の熱意が開く未来」
 石井町商工会では、町内の商工業者の情報化促進として青年部を中心にワーキンググループをつくって昨年春頃から活発な討論が行われています。

 ワーキンググループの開催はすでに二桁となりました。いずれの回も深夜まで熱心な議論が続いています。そこでは派閥がなく、また否定的な意見を述べる人もなく、どうすればよくなるかという点に絞って活発な議論が交わされています。いわば「誰が何を発言したか」ではなく、「意見に対して自由に意見を言うが、議論を建設的に気持ちよく進めよう」というブレーンストーミングのルールが確立しています。

 石井町は徳島市と鴨島の2大商圏に挟まれた通勤地として人口が増加しており、都市近郊の農業という立地を活かした「百姓一」という農産物産直も成功しています。さらに町内のほとんどの世帯が加入しているといわれる石井CATVの存在があります。

 こうした地元資源を活かしながら経営の課題を整理し、商工業者の立場から利用者である顧客の満足度を高めて地元滞留率を増やそうとするのが今回の情報化促進のねらい。ITを活用するのが目的ではなくあくまでも手段。町内の商工業を活性化させることが最終目的です。

 初年度においては今後の課題を抽出する必要があり、町内の商店等を利用する生活者の声に耳を傾けようと、昨年末にアンケート調査を実施しました。

 補助金を受けてやっている事業ですが、それほど潤沢ではないため、有志の手弁当の活動が支えとなっています。例えば、商工会の一大事業として10月頃に行った「夢カーニバル」という人気イベントで、アンケート用紙を手に聞き取り調査をしたところ、回答希望者が殺到してアンケートは一時中止となるほどでした。

 カーニバルに来る人だけではサンプルの片寄りがあるかもしれないと、地元の高校、役場、婦人会、JAなどにアンケート記入を依頼。こうして500を越える一般生活者の声が集まりました。同時に町内の商工業者にもアンケートを行い、そのなかであえて同じ設問をぶつけて意識のズレを見るという試みもしました。

 集計結果について興味深い事実がわかってきました。それらは次回に譲るとして、このアンケート調査を受けてどのような研修をすればいいのか、研修会を2月17日実施の予定でテーマや講師の選定を進めています。町内の商工業者の人はぜひ参加してください。

 押しつけられたIT化ではなく、経営の必然から出された課題を解決するのは何かを探っていく会員参加型の事業。これを単年度だけで終わらせずに、生活者の満足度を高め、結果として商工業者の利益につながるまで持っていくことが欠かせません。そしてその活動の中心には、商工会の青年部とそのOBたちの熱意があります。

 この事業は補助金の関係で単年度で終わりますが、さらに引き続いてやっていきたいというみなさんの熱意があります。こうして地元からわき起ころうとする動き、そしてそれを支えるために、産業を支援する機関や行政がどのように関わっていくかがが問われています。

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