「営業しない営業その2」

 営業しなくてもいいんだ、と思って待っていると、ウサギが切り株に当たるのを待っている民話の世界になってしまいます。果報は寝て待てということわざもありますが、これらは何らかの仕掛けをつくって成果を楽しみにして待つというニュアンスがあるように思います。

 営業しない営業と言いましたが、営業が無意味なのではなく、まずは友人知人の紹介での営業、次いで飛び込み営業をやってみるべきだと思います。
 営業の過程でこちらからお願いすることの難しさ、ときには条件面で譲歩しながら意見を通すことを学ぶことはとても有意義なことです。

 なぜなら、最初に知ってもらうことがぜひとも必要であり、直接受註につなげる営業ではなく、間口を拡げるために自分を知っていただく戦略が前段階で必要となってきます。雑誌の原稿を無料で書くということも1つの方法です。そこでは自分の事業の宣伝をするのではなく、その道のプロとしての意見をときに失敗談や裏話を交えて等身大の人間が実感として伝わるように書くのがコツでしょう。

 もうおわかりになってきましたね。営業しない営業の本質は、相手から声をかけずにいられないしくみをつくることです。それには雑誌の投稿も有効ですが、自分を知ってもらう内容のWebサイトを開設するのも方法です。

 業務内容、実績、金額、問い合わせフォームだけのWebサイトはほとんど受注にはつながっていません。つながったとしても、相手は自分をほとんど知らない状態での交渉ですから、ただひたむきに説明しても、相手はあなたがよくわからないため、価格や仕事の量、納期などが気になるのです。

 同じWebサイトでも相手が興味を引くような記事、例えばその業界での「常識のウソ」「ここがポイント」「お客様がこうして増える」などの見出し記事を掲載したWebサイトを相手が見てあなたにアプローチしてきたのなら、これは相手はあなたに興味を持ったという前提から話が始められます。そうすると、あなたの持論、得意な領域から入ることができ、相手の信頼感が増し、受注に結びつけられることが多いのです。

 営業しない営業とは、棚からぼた餅を待っている消極的な営業ではなく、実は相手に自分を選ばせるという積極的かつ効果的な方法なのです。これをさらに進めると、あなたのファンづくりを計画的に実践していくプロセスそのものが営業活動となってきます。そこでは人間心理やときには恋愛にも似た憧れの感情を呼び起こさせる方法をマーケティング的に落とし込んでいく作業となります。

 相手に自分を振り替えらさせるにはどんな方法がある?
 その相手に話しかけたい、接触したいと思わせるにはどんな方法がある?
 接触してきた相手をいい意味で裏切る(=感動)にはどうすればいい?
 頼んでよかったと思わせる要素は何?
 さらにそれを口コミしやすくする仕掛けは?
 
 これを交渉前、交渉中、交渉後に分けて落としこんでみましょう。

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