「創業2年目なんですが…」
「昨年創業し無我夢中でやってきたが利益が出ない。どうすればいい?」というご質問が寄せられました。それに対する簡単な回答です。

創業というひとつの山を越え、船出しましたね。創業は、経営というだけではなく生きることの意味を問いかけています。

自然と共生する暮らしや循環型の経済活動が求められる今、右肩上がりの経済はありえません。時代を読み、「理念」と「戦略」を持つことで、地域の人たちに愛される経営が可能となります。

ところが、経営者が持つ資金、ひと(人材と人脈)、モノ(商品、設備、店舗、土地)、経営のノウハウや情報には限りがあります。やりたいことを実現するために、限られた経営資源をどこにどのように使うかが重要です。言い換えれば、理念を実現するために「すること」「しないこと」とその優先順位を決めること---それが戦略です。

戦略を考える視点は2つあります。ひとつは「独自の土俵」をつくること。もうひとつは、顧客とのやりとりを通じてファンになっていただき、できるだけ長い間優良顧客になってもらう顧客コミュニケーション戦略です(いい戦略ができれば、夜が眠れなくなります)。

独自の土俵とは、独自のコンセプト、ほんとうに良い商品、ほかではまねができないサービスを作り上げること。そうすると顧客のほうから足を運んでもらえる可能性が高くなります。そこでしか買えないものが「神話」であり「ブランド」です。

独自の土俵がブランドとなるためには、来てくれた人たちを、当店(当社)でしか買わない優良顧客(ファン)になってもらえるよう心を通わすとともに、約束事 (品質や特徴)を守ることです。それさえ心がければ、迷うことなく前へ進んでください。少々間違えたとしても、「匂い」を持って日々の経営のなかで軌道修正すればよいのです。

いい戦略ができたとします。しかし、日々の業務に追われて忘れ去られたり、実行の段階でうやむやになったりしがちです。そこで、戦略という「想い」を日々の行動「プロセス」に落とし込む(戦略と日々の業務をつなぐ)しくみが必要になってきます。

むずかしいことではありません。誰が、どこでどんなことをするのかという「するべきこと」のリストをつくり、それができたかどうか、日々本人がチェックすればよいのです。戦略の実践に当たっては、その実行に向けてこだわりと熱意を持ち、日々の行動をチェックし、評価するしくみを道具にしましょう。

経済環境をめぐる状況はよくありませんが、それだけにチャンス。大手は無理をしないし、できないのです。自分で自分を雇用する=創業という経験は、あなたの人生にかけがえのない一頁となるでしょう。


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