石井町の未来の利益を開く〜小売商業情報化促進委員会の成果
[状況]
石井町商工会では、2001年に徳島県の補助を受けて、「小売商業情報化促進委員会」を開催し、商工会のワーキンググループ等の有志たちによって、毎回深夜になるまで熱心な討議が続けられした。まさにワーキングメンバーあっての委員会。30代〜50代の自己主張を持った個性ある人たちが集まっていましたが、どうすれば打開できるかの建設的な議論、本質的な問題提起、そしてなによりも熱意がありました。

その中心にいたのが、商工会経営指導員の浅田修司さんです。できるだけ円滑かつ活発に議論が進められるように目に見えないところで力を発揮されていた気配りの人です。(石井町商工会にとっては)残念ながら、2004年3月の人事異動で栄転されましたが、数年をかけた種まきがようやく実ろうとしています。その最初の一歩となったのが、この情報化委員会でした。報告書よりも、それをまとめる過程がわくわくするものでしたが、報告書の末文のみ掲載します。

(本文ここから)

ITを活用するのは未来の利益をつくりだすためである。これを前提として本年度の活用からヒントとなる要素を考えていきたい。
情報収集、情報分析、情報発信によるコミュニケーションの重要性はわかった。そしてそのことが収益体質を強化することも理解できた。それではどのようにITを活用すればよいのだろうか。そんな疑問が講演会などで聞かれた。

1. IT活用の前提条件

広告宣伝の一般的な法則として、その商品、サービスが優秀である場合なら、広告宣伝はプラスの効果をもたらす。しかしその逆の場合は、マイナスの効果をもたらす。IT化は、この事例によく似ている。顧客との密接なコミュニケーションをもたらす反面、企業や商店の経営の実態を浮き彫りにする。ならば、伝えたいことを絞り込み、それをいかに伝えるか、またどのようにすれば愛されるようになるかについて集中的に取り組みたい。経営とはそんな循環であり、ITをその道具として活用してみることを提案する。

(1)ITの目標が明確な場合
その導入によって可能となることは、
・ コストダウン
・ 顧客との関係強化(one to one マーケティングやリレーションマーケティング)
・ 必要な人に必要な情報を迅速かつ廉価に伝えられることによる競争優位。
・ 顧客集団のコミュニティ化(ファンクラブ的な活動の活発化)
これらによって中長期的に利益をもたらす。

(2)ITの導入目的が明確でない場合
・ 多額の投資に見合わない見返りであれば損失となる。
・ IT意外に投資のチャンスがあったかもしれず、絶好の投資機会を逃すことになる。
・ IT導入に時間投下を余技なくされ、販売活動がおろそかになるマイナス。
・ ITを活用できる人材とそうでない人材とのぎくしゃくした人間関係を生み出す。
・ ITの活用が充分でない場合、顧客の不信感を招く。
→ ホームページのメールアドレスに問い合わせを出したが、返事が返ってこない。返ってきたとしても遅い。マナーや技術面ができておらず顧客を不愉快にさせる。
→ データの打ち込みミスなどで、顧客からクレームが発生し、しかもITがミスをするはずがないと反論したものの原因は入力ミスやプログラムのバグといったヒューマンエラーであったなど。
・ こうしたことでIT化によって収益性、キャッシュフローを悪化させることもありえる。


2. ITに浮き彫りにされる商店街〜コミュニケーションの本質を見つめて

 石井町内には組織としての商店街はないが、生活者から見れば、商店街と認識される商業集積地域がある。その地盤沈下は進んでおり、再定義が必要となっている。
高度経済成長期に隆盛を極めた商店街の何が強みであったか、また何がマイナス要因となったかの分析が必要である。

 かつて子どもたちは近所の商店にお使いに行かされ、大人たちと出会った。それは買い物を通じて体験する社会勉強や世代の交流であり、そこに集う人々の過ぎゆく季節、子どもたちの成長、日々の営みを閉じこめていた。
 このように、商店街は単なる買い物の場でなく、買い物という行為を通じてやりとりされる共同体と個人との濃密なかかわりがあった。

 社会には、伝統を守る保守性がある。しかし長い年月のなかで、なぜそうなのかの本質を見失ったまま、カタチだけが取り残される場合が少なくない。
商店街にはなじみ客がいて互いに気心が知れており、お客様に商品を選ばせたり商品を取らせたりするのは失礼と商店主は考えていた。しかし時代が移り変わった今では、プライベートな買い物という行為を店に干渉されたくないと生活者は考えるようになった。
それが「買わずに出にくい」という回答に現れている。同じ設問を事業者と生活者にぶつけてみると、生活者ではこの回答は3番目と上位に来るが、事業主は下位にランクしており、意識のギャップが顕著となっている。
 生活者にとっては、買い物にわくわくするような楽しさがない、買わずに出にくいのに、来てみると欲しい商品がない。これでは客足が遠のいてしまう。
 
 商店街は家の近くにあって歩いて(自転車で)行けることが美点だったが、車社会では駐車場がないことが敬遠される。商店主たちはそのことを敏感に感じており、アンケートでも駐車場の有無を問題にしている。しかしほんとうに行きたい店なら、客はクルマを停めにくくても来店するだろう。事実アンケート調査では、駐車場がないことを挙げた人はわずか5.1%に過ぎない。アーケードや駐車場などのハード整備に目が行きがちであるが、お客様は別の視点を持っている。
 つまり生活者にとって、駐車場がないというのは不満要因であって満足要因ではないのである。駐車場があれば便利だが、確保したからといって客足が戻るとは考えない方がよい。
 ITの時代の商業集積とはなにかを考えるヒントは、人間関係(コミュニケーション)やファンになる(人やモノを好きになる)心理学にあると考えたい。共同体とその構成員である個人とのかかわりについて考察を続けたい。


3. 地域共同体と個人の関係

 高度経済成長期のうまみのある商売を経験した商店主たちは、「あの頃は…」の呪縛を持っている。世紀が変わっても過去の手法から脱却できない経営者も少なくない。
 ところが社会(商店街)と客(個)の関係が変化し、村社会にわずらわしさを感じ始めた世代(とりわけ団塊の世代以降において)が多くなった。人は誰でも集団への帰属欲求がある。だからといって、集団が個へ干渉するようになると、心地よさからわずらわしさに変わっていく。電子空間のコミュニティには干渉がない。その自由と引き換えに自律が求められるが、インターネットの匿名性と相まってそれぞれが自己判断して節度のあるコミュニケーションを楽しむことには問題が見受けられる。

 こうしたなかで、高知市のひろめ市は注目される。ひろめ市は、有名な日曜市の終点付近にある平屋の小規模の飲食店を中心とする集積である。その特徴として、
・ 平屋の建物でお金はかかっていない。
・ 店舗5坪程度の客単価手頃な店の大集団。
・ 観光客も地元客に紛れてわからない。1人客も多いが団体客はいない。
・ 適度に薄暗い照明、穴蔵感覚で落ち着く。どこかアジアの雑多なエスニック感覚のようなにぎわい。

 入り口はどちらかというと、野暮ったく安っぽい。しかし中へ入るとたくさんの人の群れに驚かされる。老若男女を問わずグループもいれば、女性が一人で飲食をしている光景も珍しくない。ここでは好きなテナントから欲しい料理を注文して思い思いの場所で食べられる。集団に溶け込むように、女性が一人で食事している光景が目に付く。といっても、集団は個に対して何の干渉も強要もしない。だから一人で食べてもグループで食べても違和感がない。ひろめ市は、集団と個の関係を現代的に再定義した例として注目される。商店街の未来のヒントとして挙げておきたい。


 この安心感てなんだろう
 コミュニティとの一体感?
 携帯電話やネットはバーチャル(非現実)。
 でもここは現実

→ みんな心のどこかに寂しさを抱えて生きている。それを無意識に満たそうとしている。でもそれはどこで?

[参考…ひろめ市(高知市)]

入り口はわかりくい。しかも野暮ったい。










 中へ入ればこのにぎわい。

女性の一人客も違和感なく溶け込んでいる

食べ物以外のテナントもある。

エスニックで雑多なにぎわい。
不思議な安心感と落ち着き。
どことなく「千と千尋…」感覚。



4. ケーブルテレビの活用法

 ケーブルテレビは石井町内でもっとも普及しているメディアである。操作に困難を極めるパソコンと違って、誰にでも扱えるテレビを利用するため、熟年層でもケーブルテレビの活用はイメージしやすい。しかも30代以上は半数以上がケーブルテレビでの買い物に関心があるし、講演会に来場した人たちの関心も高そうである。
 大切なのは、「最初に商売ありき」にならないことである。まずは人が集まる(石井町の人が見たいと思える)コンテンツづくりが課題となる。
そのためには、これまでの産業界の枠組みを越えて、商工業者、農業者、ボランティアグループ/NGO、行政などさまざまな関係者が参画して率直な意見交換をする場が必要である。商工会は、そんなしくみの立ち上げに向けてリーダーシップを発揮して欲しい。
 ケーブルテレビには、双方向コミュニケーションが可能という武器がある。寂しさを抱えて生きる現代人に、身近であってほっとするような、参加したくなるようなコンテンツが魅力的だ。以下にケーブルテレビの活用法のイメージを雑然と挙げてみた。

  • 地域のあの人がこんな商品使ってみましたと語りかける「私のおすすめ」
  • お遍路さんを接待する日と場所のお知らせ(ボランティアとお接待)
  • 川や道路の清掃をするお手伝い募集 スポンサーは○○商店で、参加者には××進呈
  • 石井町をリサイクルする〜「要らなくなった○○売ります」町内オークションの開催
  • 要らなくなった○○差し上げます…町内相互扶助
  • ペット自慢(うちのゴンタ、毛並みつやつや、一度会いに来てね)
  • 迷子のペット君見つけてね
  • 健やか赤ちゃん(△△ちゃんです。おばあちゃんが名付け親、やさしい子になあれ)
  • ゴミ分別収集(今週の火曜日は、○○地区がビンを回収します)
  • 看板娘のひとこと(今度入荷した桜モチおいしいんでよ、買いに来てな)
  • 観光ボランティア募集(旅人やお遍路さんをご案内。案内する地域の人も楽しい)
  • イベント情報(バザー、交換市、カルチャー教室、勉強会などなど) 
  • 石井町ワンストップ相談室(商品選び、行政施策、イベント開催などに対する質問を投げかけると、誰かが回答するようなしくみ) 
  • 行政情報(当番医やゴミ収集日など) 
  • テストマーケティング(これ、買いたいですか?と商品を見せてお客様の反応を見る)
  • 障害者を支援してくださいコーナー(石井町ユニバーサルなまちづくり計画)
  • こうしたヒトの流れ、集まりをどう商売に活かしていく?


 人が集まれば、それを商売に結びつけるのが商売人の知恵である。商売の前提として、人が集まること。「集める」のではなく「集まること」である。


5. インターネットは生活者のホンネを知る場

 町内の生活者は、圧倒的に「欲しい商品がない」を1位に挙げている。仕入れ先、問屋、業界誌だけの情報ではなく、直接生活者の意見を知る必要がありそうだ。しかし市場調査は金がかかるし誰に頼めばいいのかわからない。知りたいのは生活者のホンネの情報。それが欲しいときに手に入るのがインターネットである。

(1)検索サイトを活用しよう
・ 利用するのはGoogle。http://www.google.com/intl/ja/
・ 2語検索で絞り込もう。

(2)Webの3つの戦略的機能
1. 事業戦略(何が得意か、どこの土俵で勝負するか)
3. バックオフィス(顧客データベースと物流、基幹業務の連携)
4. 顧客とのリレーションシップマーケティング(生涯お客様でいてください)

 インターネットでの活用のポイントは上記の3つに絞られる。もっとも大切なのは、事業戦略である。これは市場をどこに定めるか、あるいは、その市場にいかにして集客するかの戦略である。
 次いで、それを後方から支える顧客データベースや物流等がある。さらに、Webの基本的な要素として、検索されることと、顧客心理に思いをはせることが挙げられる。
 その具体的な手法については、2/17の「勝ち組この指止まれ」講演会で学んだ。


6. 女性と心理学

 五感に訴える店づくりに敏感になろう。女性はパートナーのちょっとした仕草からなにかを感じ取るような感覚を持っている。

◆視覚…掃除
◆匂い…悪臭や異臭
◆聴覚…BGMや暗騒音
◆触覚…商品が手にとって確かめやすい

◆ 従来のマーケティングは、商品、価格、販促、流通経路。
◆ これはモノあまりの時代にモノからの視点 モノが足りないときの発想。
◆ これからのマーケティングは心理学
◆ お客様がファンになる瞬間におもいをはせる

言い換えれば、自社、自店のファンづくりのプロセスである。それは、どうすれば愛されるかという恋愛にも似た心理である。下記の各プロセスで「すること」と、「しないこと」を明確にする。

◇ 相手に自分を注目してもらうにはどんな方法がある?
◇ その相手に話しかけたい、接触したいと思わせるにはどんな方法がある?
◇ 接触してきた相手をいい意味で裏切る(=感動)にはどうすればいい?
◇ 頼んでよかったと思わせる要素は何?
◇ さらにそれを口コミしやすくする仕掛けは?
 
 これを接触前、接客、アフタフォローに分けて何をすべきかを落としこむ。


7. 過去の呪縛からの脱出には、小さな矢を放つこと

 経営に変革が必要なことは論を待たない。官僚組織や大企業の腐敗が次々と明るみに出ている。また昨年は老舗の倒産が過去最高となり、経営破たんの1/4は業歴25年以上の老舗であった。こうしたなかで、「企業から家業の時代」という言葉も聞かれはじめた。
 顔が見えない、責任があいまい、良いことでも組織の都合ですぐに実行できない「企業」に対し、地域での顔(責任)がある「家業」では、良いと思ったことはすぐに実行できる。
しかし規模や業歴が問題なのではない。新たな事業領域に飛び出していけるかどうかである。「過去を守ろうとする」のではなく「未来を創ろうとする」企業・商店こそ未来の利益を創造できる。

 ハイテクを支えているのは町工場のおやじさんたち(腕の立つ職人)といわれる。人間の磨かれた感覚は機械の精度を越えていることはよく知られている。大企業では、新たにリスクに挑戦する組織風土がない。しかも試行錯誤を繰り返しながら小さなテストマーケティングを繰り返して致命的な損害を防ぐという実務のカンが欠けている場合が多く、そこに中小企業・商店の存在意義がある。
 昨今の厳しい経済環境では、一か八かの投資は一歩間違うと再生不可能な致命傷となる。それよりも、小さな矢をたくさん放つことで、失敗する確率を減らすことが大切である。小さな矢とは、テストマーケティングのことである。市場へ向けて、試行錯誤を行い、修正しながら少しずつ核心に近づいていく。こうしてリスクを避けるために最大限の努力をしながら、未来の利益を切り開いていきたい。そのために必要となるのが、コア・コンピタンス(企業力、商店力)である。


8. コア・コンピタンスと絞り込み

 コア・コンピタンスを「企業力」(または商店力)と呼ぶことにする。それは、企業の現在、あるいは未来の利益の源泉となる要素のことで、独自の技術やサービス、製品を生み出すノウハウなどが複合的にひとつのまとまりとなった作用である。
 ところが実際は、「当社はあれもできる、こんなこともやっている」と答える経営者が少なくない。年間百社以上の事業所を訪問していて気付くことは、経営資源をどこかひとつに集中的に絞り込んだところが伸びていることである。
(1)今の利益と未来の利益のバランス

 もし自社に豊富な資金があり、有能な人材と情報が集まるような企業であれば、自社ですべてを賄うことも考えられなくはない。しかし中小企業や零細商店では、自らの存在価値(事業領域)を確立してそこに経営資源を集中させ(絞り込む)、その情報発信を行うことで新たな事業機会が訪れる可能性が高くなる。
 中小企業、商店の悩みは資金である。何か新しい提案をする、商品開発をするには資金が必要となるが、きょうの飯(現実)が食えなければ、明日の飯(夢)にありつけない。飯を食うためには、なりふり構わず仕事をすることになるが、そうすると研究開発どころではなくなるし、相手に振り回される商売では、自社のノウハウが濃縮されず分散してしまう。相手先から見て「なんでもできる企業、何でもある商店」は早晩見向きもされなくなるだろう。
事業領域を確立するためには、その領域を構成する要因(コアスキル)を見極め、それを磨いていくことが必要となる。日銭稼ぎの仕事に振り回されるうちに未来への展望を見失ってしまう。かといって明日の研究開発ばかりでは、事業の存続がむずかしくなる。そのバランスが大切である。

(2)自社の持たない経営資源を補完してくれる提携先

 まったく新しい技術の開発や提案は滅多にない、もしあったとしてもそれがそのまま商品化に直接結びつかないことが多い。なかなか世界初という技術は生まれるものではないし、そのために莫大な資金投下が必要な場合も少なくない。むしろこれまでに確立した技術や商品、サービスを組み合わせることによって新たな市場が生まれことが多い。
 最初のきっかけは、「不便」を解決しようと試行錯誤してみたことがきっかけとなって、道が開けることがある。自社のノウハウにどの商品、サービス、技術を組み合わせ足ればよいかがわかるようになる。情報(ノウハウ)を組み合わせたり連携させたりして新しいアイデアや商品を市場に送り出して成果を収めている企業が少なくない。そうした企業や商店は自社の情報をさまざまなカタチで情報発信している。情報(ビジネスチャンス)は発信するところに集まるからである。これはBtoBのヒントとなる。問題は、どこに絞り込んで発信するか、どこまで自社の手の内を明かすかである。
 自社にない情報は、新たに技術開発するよりその製品(ノウハウ)を買ったほうが早い。そのテーマを解決すべく数年にわたって人材や資金、ノウハウをつぎ込んで開発した企業の成果を利用できれば、あえて回り道して自社開発をする必要はない。
未来の利益の源泉ともいうべき研究開発の実態は、既存の商品やサービスを組み合わせて提案され用途開発が中心となると言い換えてもよい。

9. 未来の利益を考える

 自社の企業力について考える際にヒントとなる問いかけを挙げておく。次の問に1週間ぐらい考えに考え抜いて回答をしてみるようことをおすすめする。

(1)顧客
◆現在、あなたの会社が対象としている顧客は誰ですか?
◆将来、あなたの会社が対象としている顧客は誰ですか?

(2)販売経路
◆現在、あなたの会社はどのような販売経路を使っていますか?
◆将来、あなたの会社はどのような販売経路を使いますか?

(3)競合
◆現在、あなたの会社の競争相手は誰ですか?
◆将来、あなたの会社の競争相手は誰ですか?

(4)優位性
◆現在、あなたの会社の競争優位の源は何ですか?
◆将来、あなたの会社の競争優位の源は何ですか?

(5)利益
◆現在、あなたの会社の利益はどこから来ていますか?
◆将来、あなたの会社の利益はどこから来ますか?

(6)独自性
◆現在、あなたの会社の独自性はどのような能力から来ていますか?
◆将来、あなたの会社の独自性はどのような能力から来ますか?

(7)商品分野
◆現在、あなたの会社はどのような商品分野に参入していますか?
◆将来、あなたの会社はどのような商品分野に参入しますか?



10. 石井町のIT化に関するキーワード集

◆ 欲しい商品がないと顧客はいう。しかしお客が欲しがる商品はどこで知る?
◆ それはお客様に直接聞けばいい。その声が反映されているのがインターネット。ただし店主の判断力は必要。例え売れるものでも自店のコンセプトに合わなければ置かない。
◆ こうしてこだわりの商品や特別なサービスを準備したとして、それをどう伝える?
◆ それにはケーブルテレビとインターネット(メール)があるが、それぞれに使い分けたい。分析にはエクセルが有用。インターネット、メール、エクセルがIT3種の神器。
◆ ホームページとCATVの特質を考えて連携補完させる。ハイタッチ(目に触れて親しみを覚える)はCATV。CATVは地域コミュニティとして活用することで視聴率をかせぐ。ホームページは文字による情報量でこだわりを伝えたい。ITを利益に結びつけるカギは、作文力(キャッチコピー)+心理学(想像力)。
◆ ホームページではモノを売らない発想もありうる。売るのはこだわり(≒ヒト)。
◆ 伝えるのは、何にこだわっているか なぜこだわっているか。
◆ 自社の強みを押しだそう。勝てる土俵で、独自性があって、狭く深くピンポイントで。
◆ ホームページでは検索される方法を知ろう。テキスト(文字)情報はとても大切。
◆ 購買しやすいサイト設計とどんな条件でも見られるようにするためのユニバーサルデザインは専門家に頼む。ただし更新は自分でやることもできる。
◆ 情報を知った客は応対が楽。なぜなら顔(関心)がこちらを向いているから。
◆ 長い年月にわたってお客様でいてくれることが経営の目標(生涯顧客)=ファンづくり。こうなれば、少ないコスト、短時間で店の意図がお客様に伝わり、お客様の反応がどんどん良くなる。究極の営業はお客様に自分を選ばせるしかけ。成功すれば、間違いなく利益率は上がる。
◆ ニーズに対応ではなく、ニーズをつくりだすことで、利益を確保する。しかも先にはじめた人の利益がある。
◆ 安売り勝負は他人の土俵で相撲を取りに行くからムリがある。自分の土俵なら、他店の安売り技は決まり手(競合)にならない。
◆ 地方で絞り込んでも大丈夫か?の不安は当然ある。それではなぜ都市部へ顧客が流出するのか?
◆ お客は、欲しい商品、こだわりの店がないと答えている。
◆ 絞り込んだこと、こだわったことを伝えたいヒトに伝えよう。
◆ 小規模の事業所で絞り込むのは理にかなっている。経営資源が分散しないでノウハウが深くなる。→ 競合に強くなる。→ 収益体質が強くなる。
◆ セキュリティーやバックアップに対するIT基礎知識は必要。過度に依存しすぎた場合、非常時が怖い。専門家に依存せず自己責任で安全対策を取ることも忘れずに。


11. この1年間を振り返って〜有志の熱意が開く未来

 石井町商工会では、町内の商工業者の情報化促進として青年部とそのOBを中心にワーキンググループを開催した。そこでは14回にわたる活発な討論が行われ、いずれの回も深夜まで委員は帰ろうとしなかった。
 派閥がなく、成功しない理由を探し出す否定的な人もなく、ただどうすればよくなるかについて活発な議論が交わされた。そこでは「誰が何を発言したか」ではなく、「意見に対して自由に意見を言うが、議論を建設的に気持ちよく進めよう」というブレーンストーミングのルールが確立していた。

 石井町は徳島市と鴨島の2大商圏に挟まれた通勤地であり、都市近郊の農業という立地を活かした「百姓一」という農産物産直も年商2億円に達している。さらに町内のほとんどの世帯が加入しているといわれる石井CATVの存在を無視できない。
 こうした地域資源を活かしながら経営の課題を整理し、商工業者の立場から利用者である顧客の満足度を高めて収益力、進出が予想される大型商業集積への競合力を高めようとするのが今回の小売商業情報化促進委員会のもうひとつのねらいであった。

 初年度においては課題を抽出する必要があることから、町内の商店等を利用する生活者の声に耳を傾けようと、2001年末にアンケート調査を実施した。
商工会の一大事業として10月頃に行った「ふれあいカーニバル141」という人気イベントで、アンケート用紙を手に聞き取り調査をしたところ、回答希望者が殺到してアンケートは一時中止となるほどであった。
 カーニバルに来る人だけではサンプルの片寄りがあるかもしれないと、さらに地元の高校、役場、婦人会、JAなどにアンケートを依頼。こうして500を越える一般生活者の声が集まった。同時に町内の商工業者にもアンケートを行い、同じ設問をぶつけて意識のズレを見るという試みも行われた。

 集計結果については本文で触れているように興味深い事実が判明した。このアンケート調査を受けてどのような研修をすればいいのか、侃々諤々の議論の結果、2002年2月17日に「勝ち組この指止まれ」という斬新なコピーの講演会を開催した。派手なチラシをデザインし(これも有志の手による)、町内あちこちに呼びかけた。その結果、町内の商工業者を中心に約60名の参加があり、3時間半に及ぶ長丁場で席を立つ人はほとんどいなかった。まさに、企画、準備、人集めに至るまで手弁当で運営された講演会だった。

 このように、本事業は押しつけられたIT化、予算消化の商工会事業ではなく、経営の必然から出された課題を自主的に解決しようとする会員参加型の事業である。この成果を単年度だけで終わらせずに、次年度でさらに掘り下げて地域活性化の果実としたいとワーキンググループのメンバーは考えている。
 
小さな波紋がやがて地域を動かしていく波となるかもしれない。この事業が問いかけているのは、できるだけ多くの人が参加する互恵的な地域共同体(コミュニティ)の運営とそこから得られる未来の果実であり、商工会の枠組みを越えて呼びかけているものである。
地元からわき起こったそんな自発的な動き(活性化)に対し、そしてそれを側面から支援する機関や行政がどのように関わっていくかが問われている。石井町の未来の利益は試行錯誤と熱意の向こうに必ず存在する。成功を信じてやまない。

2002年3月
  (中小企業診断士 平井 吉信)