八月の堰
 自然観察会が行われた第十堰。野鳥や植物の専門家の話を伺ったあと、地元の漁師さんの案内で下流の船上から堰を眺める。堰の上を水が越えていく様子は、青石を積み上げた往時をしのばせる。

 やがて船は中州にたどりついた。水底の石がひとつひとつ数えられる。水が澄んでいるのは、堰本体という天然の浄水器をくぐりぬけた水が下流に湧きだしているからだろう。喜んだ子どもたちは、帰りの船が来ても水から上がろうとしない。

 中州は北岸から泳いで渡ることもできる。島にヤナギが一本生えていて、水面に影を落としている。恋人たちの避暑地、少年の隠れ家ともいえるような秘密めいた感じがする。

▲戻る